ノンの妄想部屋

□桜並木のアリス
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僕は河原を歩いている。

季節は春だ。

この川沿いには桜の木がずっと植えられているため、辺り一面桜色に染まっていた。

僕が、なぜこんな場所にいるかと言うと、花見に最適な場所はないかと探してきて、と頼まれたからだ。
「…花見なんて何処でもいいじゃんか…」

僕は思わず呟いた。

「何処でもいいわけないじゃない」

という返事が返って来たときには驚いた。

「!?」

「一番綺麗なところでお花見したいって思うのは当たり前でしょ」

いつの間にか、目の前に少女がいた。
「不思議の国のアリス」からぬけだしてきたような少女だ。
金髪の巻き毛に黒のカチューシャ、水色のパフスリーブのワンピースに白いエプロン。白いタイツに黒のエナメル靴…僕は一瞬目を疑った。今時こんな格好の子がいるとは。本人か親がコスプレ趣味をお持ちなのかもしれない。
「アンタって失礼なやつね」
少女がいった。
僕は何の事か理解できずにいた。
僕が失礼?なんなんだこの子は…?
「いま私の事見て、滅茶苦茶引いてるでしょっ!?」
彼女は怒りくるっている。
僕はやっぱり彼女の真意が読めない。
「普通はさ、自己紹介して名前とか聞くのが筋じゃない?淑女に名乗らせるなんてルール違反よ!」
といわれて初めてわかった位だ。

「ああ…ごめんよ。僕は一ノ瀬終夜。君は?」
「私は城崎ありす。…大丈夫だよ、あたしはキの字じゃないわ、これは親の趣味よ」
彼女―城崎ありすはそういってスカートをつまんで優雅な礼をとる。
「アナタ、桜の木を見付けにきたんでしょ?」
ありすはそういって僕を見た。
「お花見にいいとこ、教えてあげるわ」
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