ノンの妄想部屋
□放課後の音楽室
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それはまあ恋というより憧れに近かった。
好きな人がいた。
寡黙な男の子で、動物が好きな子だった。私は彼に、色々な動物の話をしてもらった。
もちろん自分でも図鑑とか動物記とかたくさんの読んだ。
彼とはなしているとき楽しかった。
それまでの私は、なぜ人間として生を受けたのか、分からない時だった。人間なんてみんないなくなればいい。私も消えてしまいたい。生きてる価値も分からなかった。
楽しいことなんかなくて。
知りたいことが出来たということに嬉しかったのかもしれない。
彼とは中学まで一緒だった。
放課後の教室で、よくふざけあっていた。
私も男に産まれたらもっと上手く話したり、一緒に思いきり遊べるのに。そう考えたこともあった。
今となってはすこしだけ切ない想い出だ。
―最後まで好きとは言えなかった。
たまに、
素直にいっておけばよかったのかな、って思う時もある。
そしたら違う人生を歩んでいたのかもしれない。
そんなことはもちろん誰にも分からないし、予測不可能な事だ。
だけど、言わずに終ってしまったことを後悔してはいない。
今まで私が出会った大事に思える人々と出会うことは出来なかったかもしれないから。
私はそんな大事な人々との出会いを大切にしたい。
自分には愛される資格など無い…そう感じることはままあるのだが、
ヒトとして産まれたことは良かった。
いつかだれかに好きだと言う日が来るのかもしれない。
それがいつかはわからないけど、それでいいと思う。
いま出会った人は好きだから。
大事にしたいから。
今日も、
わたしはいきる。