novel

□あたしのほっぺにきみのゆび
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―掃除中の教室。


サボりながらドアに寄りかかっていると、

トントン

肩を叩かれた。


誰かと思って振り返ると、

「またひっかかった〜お前何回目だよ〜(笑)」


あたしのほっぺに触れた誠司の人差し指。

やられたのは、何回目だろうか?

いつもいつも、バカみたいにひっかかってる。



「うるさいなぁ〜〜。でもほんと、何でこんなにひっかかっちゃうんだろ(涙)」

「それはお前がバカだから!」

「うーわ失礼なやつ!!」


いつも、誠司はちゃんと目を合わせてくれる。

それがあたしにはとても心地よくて。

何分でも見ていられる。


「お前は成長しねーな。」

「誠司に言われたくないんですけどー。」

ちょっと斜めに見上げる。

この身長差が悔しくて、でも落ち着く。


「ねぇ、あたし誠司のこと好きだよ。」

「…えっ?!」

「えっ??あっ!あぁ…ちょっ、」


逃げだす。その場から。

教室からベランダへ出る。

もう、顔をあわせられない。


「ちょ…っ、渚〜〜っ!!」

やばいやばい、こっちにくる。

もうダメだな、あたし。


「なぎ...あっいたっ!!!」

「うん…。」

「俺も気になってた。お前のこと。」

「えっ?!」

「だってお前かわいんだもん。」

「ほんとに言ってんの?!」


思わず疑う...。

だってこんなことって…

「付き合おうよ、俺たち。」

「…うんっ!」


それは願ってもみないことで、ひょんなことで口に出した言葉があたしの世界をかえた。

信じられないけど、素直に嬉しい。


「じゃあ今日駅まで一緒に帰るか!」

「うん、楽しみにしてる。」


きっと今のあたしのほっぺは、太陽に照らされたアスファルトよりも、熱くなってるに違いない。




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