小説
□真の願いと現の夢
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昌樹と浩樹そして、太陰と玄武は夜の学校にいる。薄暗く、普通は身をすくませるだろうが、それはそれ。昌樹も浩樹も平気な顔をして校庭を歩いている。
「うーん。前と変わったところはないなぁ」
昌樹が呟いた。
「昌樹、満足した?」
浩樹は、だから言ったのに、と言わんばかりの体だ。
「まあ、うーん気のせいだったのかなぁ」
「気のせい?何か気になる事でもあったのか?」
問うたのは玄武だ。
「それは」
その瞬間、空気がどんよりとしたものになった。
これを自分は『知っている』?
「玄武!太陰!アイツだ!!」
二人が、グッと身を構える。
「知ってるのか!?」
「この間、会ったんだ」
浩樹が札を一枚取り出し、昌樹もそれにならう。
「やっと連れてきたか」
現れたのは玄いもや。
「くらえ―――っ!!」
太陰が風の矛を放つと、もやは構えていなかったのか、直撃をくらった。
「どうよ!!」
やたら太陰は誇らしげだ。なにかひと悶着あったのだろう。
「あ、もやが吹き飛んで……」
今まで覆っていた玄いもやが、太陰の風のお陰で吹き飛び、もやの中身が現れた。