小説
□真の願いと現の夢
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「なんだ。お前か。つまらんな」
宙に浮いた玄いもやがそう一人ごちる。
「なんだとはどういう意味だ!」
浩樹がいきりたつが、相手は意に返した様子もない。
「別の奴がいるだろう。そいつを連れてこい」
「別の奴って……」
「お前の分御霊だよ」
「わ……け………?」
「全く。頭の悪い」
もやの妖気がました。
その瞬間、浩樹はその場から動けなくなる。
「こんの―――っ!!!」
ゴウとつむじ風がもやを襲った。
「ぐっ……!」
直撃はしなかったようだが、多少のダメージは与えたようだ。
「ありがとう!太陰」
「しっかりしなさい!」
「式神か。面倒な……」
もやは高く飛翔した。
「逃がすもんですか!」
太陰が風の矛を放つが跳ね返され、浩樹達に向かってくる。
「な……!!」
「波流壁!」
やおらの所で玄武が結界をはり、なんとか防ぐ。
「そんな子供でなく、あいつを連れてこい!!」
そう言葉を残し、もやは、消えた。