小説
□真の願いと現の夢
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昌樹はまだ夢のあの感覚から抜け出せずにいた。
内容は覚えてはいないのに、夢のことを考えるとどうしようもない恐怖が体を支配する。まるで思い出すのを拒むみたいに。
「昌樹!」
「え?」
はた。と顔をあげると浩樹とこなぎが顔をのぞきこんできていた。
「え……と。何?」
「何?じゃない!」
「ねえ。昌樹。本当に大丈夫?調子が悪いなら早退した方がいいんじゃない?」
浩樹は怒りながら、こなぎは心配しながら声をかけてくる。
「大丈夫だよ」
「大丈夫ってなあ。弁当殆ど食べてないじゃないか。昼休みはもうすぐ終わるし……」
「あんまり食欲わかなくてさ」
「やっぱり調子が悪いのよ。せめて保健室で休んだら?」
「平気だって。ほら、昼休み終わっちゃうし教室に戻ろう?」
俺は二人を促した。
二人とも不満げな顔をしている。