「またピアス増えてんな」
隣から手が伸びてきて私の耳に触れた。
横をみるとカシスが頬杖をつき眉間に皺を寄せこちらを見ていた。
「また付き合ってた奴と別れたのかよ」
「そうだよ。」
耳に触れていた彼の手をやんわり退けて答えた。
その行動に少し彼がむっとした。
「いい加減俺と付き合えよ。」
そうしたらこれ以上ピアス増やさせないぜ。
そういう彼の言葉に一瞬気持ちが揺らいだ。
だけど私は彼とは違って汚れすぎてる。
釣り合うわけなんて無い。
「考えとくわ。」
そういって席を立ち教室を出た。
あの言葉に素直に甘えられたらどれだけ楽か‥。
カシスは勘違いしてるみたいだけど、この体にあく穴は傷付いた時に空ける穴。
「どうした?」
「ガナッシュ‥何でもないわ」
そう目の前の彼に傷付けられた回数。
どんなに傷つけられても彼から離れられない私って何て愚かなのかしら。