駄文

□小さな幸せ
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此処は六番隊隊舍。

「…………」

此処の隊長である白哉は暫く用があり空けていた隊長室へと脚を運ぶ。

「恋次さん!」

隊長室から聞こえてくるのは理吉の声。
何事かと思って白哉は隊長室の前に行く。

「なんだよ理吉」

ずっと聞きたかった恋次の声。

「お茶菓子持って来ました!」

元気そうな理吉。

「…んでいきなり…」

そして何故か困った様子の恋次。

「恋次さんの大好きなたい焼き!美味しいって評判で人気の店から買って来たんです!」

ずいと理吉がたい焼きを差し出す。

「おっ、うまそうだな!」

恋次は嬉しそうにしている。

「どうですか?」

もぐもぐと食べる音の後に

「ん!うめぇ!」

と凄く幸せそうにたい焼きを頬張っている恋次。

「喜んで貰えて良かった!」

にっこりと嬉しそうに理吉が笑っている。

「………」

それを見て居る白哉は不機嫌、というか、複雑な表情をしている。

……恋次が幸せそうにして居るのは正直嬉しい。
だが、その幸せそうな笑顔を向けているのが理吉である事も気にならなければ、
その幸せを作っているのも別人だからだ。
醜い嫉妬とわかってはいても、溢れ出て来るのはどろどろとした負の感情。

「…帰ったぞ」

その気持ちを出さないように戸を開く。
そうすると、たい焼きを頬張っていた恋次がにっこり笑って

「お帰りなさい!」

と言ってきたその幸せそうな笑顔に見とれてしまって悟られないように

「…うむ」

と短く答えた。

そして、その時、不機嫌な気持ちが全て消えて

凄く幸せな気持ちになっている事に気がついた。


END



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