駄文

□愛しているから。
1ページ/1ページ



君が、好きだよ。
誰よりも、
何よりも、
君を愛してる。
だから、
その綺麗な綺麗な
君の瞳に

―俺だけを映してくれ。

「何処へ行く、グリムジョー」

外へと出ようとしているある破面に声をかけると彼はビクリと肩を震わせる。

「…別にてめぇにカンケーねーだろ」

彼は振り向いて俺に不機嫌そうな仏頂面を向ける。

「何処へ行く、と聞いたんだグリムジョー」

俺が冷たく言い放つと彼の綺麗な水浅葱色の瞳が怒りに歪む。

「だーかーら、カンケーねーって言ったろ?」
「大有りだ、万が一勝手な事をされては困る」

そう、彼に何か起きた後では遅いのだ。

「…いちいちうるせぇんだよてめぇは!」
「ああ、だが、何回俺が注意しても勝手な事をしているからだろう」

そう、良く彼はココから外へと出てしまう。
危険が一杯の外へと

「うるせぇってんだよ!だから俺はテメーが嫌いなンだよ!」

そう彼に言われて無いはずの心が傷む…
…だが、それで良い。

「構わない、俺もお前が嫌いだグリムジョー」

思っても居ない事を口にする。
本当は大好きで誰よりも愛していて、
ずっと一緒に居たくて、離れたくなくて、
何よりも大切。
彼は目を伏せて、

「…―――っ!」

小さく呟いたが聞こえず聞き返す。

「何か言ったか」

キッと彼は俺を睨み付け。

「……ンだよ!ウルキオラのバーッカ!!」

と言って彼は走り去ってしまう。
そして俺は彼の背中が小さくなって見えなくなるまでたたずんでいた。

誰よりも、
純粋で、
無垢で、
綺麗で、
愛しい君は、
優しくて
誰とでも仲良くなって
誰とでも親しくなって
誰からも愛される

―俺には君しか居ないのに

誰の目にも触れさせず。
ずっとずっと一緒に居たい。
何処かに幽閉したい衝動にかられながら
そんな事は許されるはずも無く、
ただただ君が誰かと仲良くしている姿を見ているだけ、
それはあまりにも残酷で…
…だから、だからせめて
愛してくれなくても良いから

君の瞳に俺を映して

好きじゃなくて良い
誰よりも
俺を嫌って
そうしたら、
俺だけを見ていてくれるから―
俺を嫌いと
想ってくれるから。



その後、グリムジョーは俺が注意したにも関わらず
外へと行き、
俺の生かした死神に片腕を斬られて、
ボロボロになって、
帰って来た。

嗚呼、だから
危ないと言ったのに
俺の言うことを聞かないから、
駄目だろう
勝手なことをしては
そう言って彼を叱咤すれば
口から出るのは

“あの死神”

そう、
その日から
君は死神の事ばかりを話す
駄目だ
それは駄目だ
君に
君に嫌われて、憎まれて
瞳に映るのは俺なのに
だから、
君の瞳に映るあの死神は
何があろうと殺す。
待っていてくれ、
今、君の瞳に映る邪魔者を
殺してあげる。

だからまた、
俺だけを瞳に映してくれ―



君を、愛しているから。



END



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ