長編駄文

□afraid of his own shadow
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家に着き玄関の戸を開けるが何時も元気良く『お帰りなさい』と云ってくるルキアの姿が見えない。眠くなって眠って居るのだろう。
白哉の後を着いて恋次は玄関へ入った。

「…れんじ寒いだろう、風呂へ入って来い」

白哉は風呂のある方向を示しついてくるように云った。

「………」

にも関わらず何故か恋次は黙ったまま玄関にしゃがみ込んでしまった。

「何をしているのだ」

「………」

白哉が問いかけようとも恋次は答えない。

「…何故そこにしゃがむ」

「………」

恋次はじっと動かない。

「答えろ」

「…きたないから、いえにはいっちゃいけない」

「寒いだろう、上がれ」

恋次はふるふると首を大きく横に振った。

「………」

何を云っても無駄だと思った白哉は恋次を強引に抱えた。
抱え上げた恋次の体は思った以上に軽くて白哉は驚いた。

「ごしゅじんさま、おれ、きたないから、さわっちゃだめ」

恋次はじたばたと暴れたが白哉は気にせず恋次を風呂場の方へ連れて行った。
脱衣場へと連れて行ったのは良いが恋次は縮こまったまま一向に風呂へ入ろうとしない。

「服を脱げ」

「………」

「服を脱げ、それともそのまま湯をかけられたいか」

「………」

恋次は渋々ボロボロの服を脱いだ。
その時に気になったのは身体中にある沢山の傷痕と刺青が刻まれていることだった。

「風呂へ入って来い着替えは置いておく」

恋次は小さく頷いて風呂へ入っていった。
白哉は自分の小さな頃の服が残って居ただろうか…と思いながら服を取りに向かった。


結局、丁度良い大きさの服が見当たら無かった為大きいが自分の服を着せることにした。
服を置きに来た時に恋次の首輪に"恋次"と書いてあるのに気が付いた。
白哉はその時に"れんじ"とは"恋次"と書くのだと知った。


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