駄文

□泣き顔
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「………」

じーっと恋次は白哉の病室の前に立ち尽くしていた。

(…き、来たのはいーけど…どーしよ…)

おろおろと狼狽えていると病室から「恋次」と彼の声が聞こえてきた為に反射的に「はい!」と応えていた。

「入れ」
「…ハイ」

反射的に返事をしてしまった自分を恨んだ。

「何の用だ」

白哉はいつもと変わらない落ち着いた様子で聞く。

「…えーっと」

言いたいことかが纏まらずに口を継ぐんでしまう。

「どうした?」
「…あの、隊長っ!」

意を決して恋次は口を開いた。

「何だ」
「あの…っ、勝手な行動したり、そんで、ケガさせたりしてごめんなさ…すみませんでしたっ!」

勢い良くガバッと頭を下げた。

「…恋次?」

白哉は不思議そうな顔をしている。

「…ごめんなさい」

とても心配そうな顔をしながら恐る恐る白哉を見る。

「…何を言っておるのだ?」
「……でっでも隊長…俺のこと避けてるみたいだったし、最近話ししてくれなかったから…その」
「私が怒っているとでも?」
「……ハイ」

しゅん、として恋次はうなだれる。

「私は怒ってなどおらぬ」
「じゃ、じゃあなんで?」

戸惑った顔をしながら恋次は聞く。

「…私は、私がお前に避られけているのかと思った」
「そんなことないです!」
「私とて、恋次を傷付けたのだ、嫌われても致し方あるまいと思い、必要以上に近寄らぬようにしていたのだ」
「…俺が隊長のこと嫌いになるはずないねェのに…」

そう、小さく呟いて恋次はぎゅうっと白哉に抱き着いた。

「恋次?」

いきなりのことで少し戸惑いながらも白哉は恋次の背中に手をまわす。

「俺、隊長に嫌われたのかと思いました…」

すがり付くかのように恋次は腕に力を込める。

「何を言う」

白哉は優しく恋次の頭を撫でつつ微笑んだ。

「私が恋次を嫌う訳がなかろう」

それを聞いて恋次は白哉に抱き着いたまま耳まで真っ赤にする。

「隊長…」
「何だ」

恋次はゆっくりと顔を上げ、恥ずかしそうに赤い顔のまま白哉を見見つめながら小さな声で

「…隊長…好きです」

白哉は嬉しそうに微笑みながら

「愛しているぞ、恋次」

そう優しく囁いた。

「…俺もです」

恋次はそれを聞いて嬉しそうにぎゅうっと白哉に強く強く、抱き着いた。



END

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