お題

□愛してるから壊したい10題
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9.壊れても愛してあげる

白恋前提千→恋(シリアス※千本桜が完全に病んでます。




暗い、部屋の中で『たいちょう』

そう、小さく恋次の唇が動いた気がした。

…それだけで、俺の心は掻き乱される。

「恋次」

俺が恋次の名を呼ぶ。すると恋次はぴくりと体を動かして反応する。

「…たいちょう」

恋次は決して俺の名を呼ばない。
まあ、この暗がりで俺の姿は見えて居ないのだから当然のことだろう。

とはいえ、この場に居ない俺にとっては最も忌まわしい存在の名を呼ばれることは決して愉快なことではない。

「恋次」

「たいちょう…ど、こですか」

「此処に居る」

俺はそう云いながら恋次の側に立つ。
恋次は自分以外の気配を感じて顔を上げて俺を見る。しかし、その目に以前の様な明るい光はなく、どこか虚ろだった。

「たいちょう?」

「恋次」

俺は座り込んでいる恋次の脇にしゃがみ、恋次を強く抱きしめる。

「…たいちょう」

恋次はそう云って俺に擦り寄ってくる。



恋次と白哉の仲がこの上なく気に入らなかった。
恋次に焦がれても焦がれても恋次はこちらを向くことが無かった。
俺を白哉の斬魄刀としか見なかった。

俺はどうしても恋次を手にしたかった。

だから、俺は恋次を閉じ込めた。

…恋次を白哉から引き離した。

暗い暗い部屋に束縛して、押し込めて、恋次の側に居るのは俺だけになった。
最初の内は大分抵抗されたがその内に恋次は大人しくなった。

…ただ、現実逃避なのだろうか、何時からか恋次は俺のことを白哉と思う様になった。

しかし、それでも俺は恋次とそのまま居ることにした。
恋次が俺と白哉を重ねて見ているのなら、それはそれで構わない。

「たいちょう、大好きです」

恋次は何処か嬉しそうに笑っていた。恋次の頭を撫でるとさらさらと紅い髪が流れていく。

「たいちょう、たいちょう…」

恋次はぎゅっと抱き着いている腕に力を込めて暗がりで仮面を外している俺に口づけた。

「あいしてます、たいちょう」

「嗚呼、愛している」

俺はそう云って恋次の唇に口づけ、強く強く抱きしめた。

そしてそのまま恋次を押し倒し、顔に、首に、胸元に、幾つも口づけ赤い跡を残していく。

恋次はこそばゆい様で小さく笑って居た。

「たいちょう、くすぐったい」

「そうか、では…」

俺はそのまま恋次の首筋を舐め上げた。

そうしてそのまま、ことに及んでいく。

恋次は情事の最中でも、白哉の名を呼ぶが、それでも俺は構わなかった。

恋次が呼ぶのは白哉でも恋次をこの手で抱いているのは紛れもなく、俺なのだから。



…恋次、例え壊れていても、愛している。



END


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