お題
□愛してるから壊したい10題
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2.その顔、好きだな
ウルグリ(甘々
任務が終わり久しぶりに自室に戻って来た俺は少しばかりソファーに座り休んでいた。
「ウルキオラ」
部屋の外からこれまた久しぶりに聞くグリムジョーの声。
「ウルキオラー?」
どうやらグリムジョーは部屋の中に入って来たようだ。
「なァ、ウルキオラー…って、寝てんの?」
まだ、目は開けない。
まだ答えてやらない。
「寝てんなら起きろよー」
つまらなそうなグリムジョーの声。
「ウルキオラァー」
少し甘えるような声。
「さっきから喧しいぞ、グリムジョー」
俺が目を開けてグリムジョーを見ると構って貰えた嬉しさ半分無視されていた苛立ち半分といった表情をしていた。
「ウルキオラッ!!」
急にムッとした表情をしながらグリムジョーは大声を出した。
「どうした、そんな大声を出して」
と、平然とした表情で言ったら。
「何回呼んでもテメェ返事しなかっただろコラァ!シカトか?シカトなのか?狸寝入りしてんじゃねェよ!ウルキオラァッ!!」
「だったらどうした」
フン、と軽く鼻で笑ってやった。
「ウゼェェェェ!!」
俺はこういう風に不貞腐れた顔をしたグリムジョーが大好きだ。
「もうテメェのことなんざ知るか!」
フン!と鼻を鳴らしてグリムジョーは俺に背を向けた。
「グリムジョー」
「んだよ」
…拗ねた姿も可愛いと思いながら子供を諭すように話し掛けた。
「こっちを向け」
「ヤダ」とグリムジョーは首を横に振る。
ここまで拗ねたらなかなかこっちを向かないな…仕方ない、と思いながら。
「餓鬼が」
と言ってやると
「誰が!!」
と言って俺を子供のように睨む。
「良い子だ」
俺は微笑みながらこっちを向いたグリムジョーの頭を優しく撫でる。
「…ゔ〜」
グリムジョーは真っ赤な顔をして唸っていた。
「…反則だろ」
項垂れながらグリムジョーはボソッと呟いた。
「何が?」
何が反則なのかが分からなくて聞き返した。
「その顔、反則」
「…何故?」
「…俺がその顔、好きだから」
俺は珍しく素直なグリムジョーのその言葉を聞いて驚いたがすぐに
「俺だからだろう?」
と意地悪く笑ってやると
「………」
グリムジョーは真っ赤になって恥ずかしそうに俯き黙り込んでしまった。
「どうなんだ?」
「…ウルキオラの意地悪」
「何か言ったか?」
「…ウルキオラだからァ…ウルキオラだから大好き」
「良く言えました」
そう言って俺はグリムジョーをぎゅっと抱き締めて「俺もお前のその顔が好きだ」と耳元で囁いてやるとグリムジョーは「うるせぇ」と小さく呟いて俺の肩に顔を埋めた。
―この状態も悪く無いが…今、恥ずかしさや嬉しさで真っ赤になっているだろうその顔を見たいな、と思いながら、優しく優しくグリムジョーの綺麗な蒼い髪を撫でた。
END