お題

□愛してるから壊したい10題
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5.これが僕の愛し方だよ
白恋(甘







独り夜空に吼える声。


その声が、夜空の月に


届くことは在るのだろうか…。



月の美しい深夜に白哉は日課で有り趣味でも有る散歩をしていた。

「………」

夜の静けさと、明るい月の光に照され白哉は独り歩いている。

すると何処からか刃を振る音が聞こえて来た。

その音が気になり白哉はそちらに脚を運ぶ。


「………」


「…隊長」


そこに居たのは恋次だった。

「夜更けに、このような場所で何をしている」

「…鍛練、ですよ」

「それは良いが…鍛練のし過ぎも毒だぞ」

「…!!」

それを聞いた恋次は目を丸くして驚いた。

白哉は眉を潜めて「どうした」と聞いた。

「…い、や…あの…」

「云いたいことがあるならはっきりとしろ」

「た、隊長が心配してくれると…思って無くて…」

「…私は血も涙も無い鬼か」

白哉は不機嫌そうな顔をする。

「そうじゃ無くて…」

恋次は俯き小さな声で

「びっくりもしたけど…でも…一番は嬉しかった、から」

と云って嬉しそうに笑った。

それを聞いた白哉は微笑んで「当然だろう」と云った。

「え〜っ!隊長いつもは俺の心配するどころか苛めて来るじゃ無いっスか」

恋次が不満げに云うと白哉は苦笑した。

「お前の反応が愛らしいからな」

「…っな!」

恋次はそれを聞いて真っ赤になる。

「そんなこと無いっス」

と云ってそっぽを向いた。

「そう云うところが可愛いのだ」

「かわ…っ!」

「これだから」

白哉はにやりと笑い恋次に背後から抱き着き「…虐めたくなる」と小さく耳元で囁いた。

「はわわわっ!!」

恋次は酷く真っ赤になって白哉から放れようともがいた。

「は…っ放して下さい!!隊長…放せっ!!」

「断る」

白哉は恋次を放す気は無いらしくなお腕に力を込めた。

「隊長、や、や止めっ!…ひゃぅ!」

恋次が嫌がるのも気にせず抱き着いたまま白哉は恋次の首筋にキスをした。

「お前が悪い」

「なっ何が!?」

「お前が誘ったのが悪い」

恋次は「誘ってない!」と叫んだ。

「からかうのは止めて下さい!」

「何故?」

「恥ずかしいんだよ!!」

早くこの状況から抜け出したい恋次は必死だ。

「誰も居ないだろう」

白哉はなおもからかい概が有ると云わんばかりに恋次を抱き締める。

「それでもだよ!」

「…恋次」

白哉は嬉しそうに恋次の名を呼ぶ。

「ちょ…っ!あんた止め…っ!!ん!」

恋次の抵抗等全く気にせず白哉は恋次に口付けた。

「ふ…っん…はっ…」

深いキスをされて息苦しくなった恋次は背中をばんばん叩いた。
それに気付いた白哉は唇を離した。

「はっ…何、すんだ…よいきなり!!」

恋次は真っ赤になって白哉を怒鳴った。

「お前を好いているからな」

恋次は真っ赤になって顔を背け「隊長のばーか!!」と叫んだ。

「仕方がないだろう」

と云って白哉は微笑んだ。

それでも恋次は真っ赤になったまま白哉から顔を背けている。

「知らない」

「…恋次」

「ふんっ!」

余程恥ずかしかったのか恋次は中々白哉を見ようとはしない。

「恋次、こちらを向いてくれ」

「ヤだ」

恋次は耳まで真っ赤にして首を横に振る。

「…悪かった」

白哉は少しばかり困った表情をしてそう云った。

「…ばーか」

恋次は小さな声で呟くと白哉にぎゅうと抱き着いた。

「恋次、顔を見たい」

恋次はいやいやする様に首を横に振る。

「愛している」

と云って白哉は優しく恋次の頭を撫でた。

「恋次」

名前を呼ぶ度に恋次の何処かしらにキスを落とした。

「恋次」

「隊長…」

白哉の執拗さに負けたのか恋次はゆっくりと赤く染まった顔を上げた。

「愛している」

「俺も、隊長が大好き」

恋次は酷く小さな声でそう云った。

白哉は恥ずかしがりながらも自分を好きだと云った恋次をいとおしいと強く思った。

そして、恋次を強く抱き締めもう一度「愛している」と呟いた。

「恥ずかしいから止めて下さいよ…」

白哉は微笑み「これが私の愛し方だ」と恋次に云った。


「しょうがないなぁ」と云って恋次は苦笑した。

「離さないで下さいね」

「頼まれても離しはせぬから安心しろ」

「じゃあ安心だ」

そう云って恋次は白哉を抱き締め返した。






END


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