お題

□愛してるから壊したい10題
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8.嫌いになった?

白恋(シリアス




私と恋次がルキアを連れ帰り数日が経った頃"旅客"が流魂街に現れたという報告をうけてから恋次は上の空だ。


「恋次」


いつもなら読んだだけで元気よく『はい!』と笑いながら返事をする筈なのに恋次はぼぅっとしていた。


「恋次!」


数回呼んでも返事が無いため少しばかり声を張り上げて恋次の名を呼んだ。


「あっ、はい!なんスか?朽木隊長」


やっと気が付いたのか恋次は苦笑しながらこちらを向いた。


「…どうしたのだ、考え事でもするかのように外を眺めおって」


「何でもないっスよ」


そういって笑った恋次は何故だか少しばかり悲しそうだった。





恋次が上の空な理由は分かっている。


"旅客"であろう


"黒崎一護"のせいだ。





…気に食わぬ


「…へ?なんかいいましたか…朽木隊長」


恋次が呆けた顔をして私を見詰めて来る。…どうやら口に出していたらしい。


「何でもない」


「そッスか」


恋次は不思議そうな顔をしていた。


「…何でもないのだ」


「なら、いいです」


恋次といって恋次は小さく微笑んだ。





その後だ、その後隊首会が開かれその間に



恋次は…



旅客と戦い、敗北し、大怪我をした姿で発見された。




その姿は痛々しかったが


いつも一つに結っている紅い髪はほどけ、


痛みに喘ぐ彼の姿を



とても、美しいと思った。



そして、この姿にしたのが"旅客"だという事実がとてつもなく、




気に入らなかった。





恋次は今、牢の中にいる。

私は傷付き、捕らえられた恋次の隣にいた。


「恋次…」


「…は、い」


痛みの為か恋次の声は小さく、掠れていた。


「…この傷…誰に付けられた」


「…旅客……黒崎、一護…です」


恋次は小さな声で私を見ながらそう言った。


「勝手な行動をした上にこのような傷を負って…何をしている」


「…すんません…」


恋次は怯えた表情をして私を見た。


「恋次」


「っ…はい」


「お前は誰のモノだ?」


「…朽木隊長、です」


「わかっているなら良い

…だが痕を付けられたという仕置きは必要だな」


と私は多少強引に恋次の身体を抱き起こす。


「…た、隊長っ…いたっ」


軽く抱き締めただけで恋次は痛みにうめいた。


「許さぬ…」


誰にも聞こえない程の小さな声で私はそう呟いた。


「お前は私のモノだ」


「は…い…」


傷の痛みからなのかはわからないが恋次は泣きそうな顔をしていた。


そして私は今にも泣きそうな恋次に口付けた。






そう、お前は私のモノだ。


私以外の者が痕をつけることなど…何があろうと許さぬ。






その後、恋次は私の前から消えた。


理由はただ一つ


"ルキアを助けること"


そして奴は…


"黒崎一護の元にいる"


そんな核心めいたものが私にはあった。



余程黒崎一護が気に入ったのだろうか…


それとも、恋次は私を嫌いになったのだろうか…



…どちらであろうと構わない。




この手で取り戻すまてだ。





私から、恋次を引き離した罪は重いぞ黒崎一護…


何があろうと貴様は私が切る…


そして、恋次を取り戻す。


あやつは、誰にも渡さぬ。




恋次は、私のモノだ。





END

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