暁月夜

□soleil〜ソレイユ〜
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「…………」

「なんやその目……」

「で…出たッス………」

「出たて…人をおばけみたいに」

「元々死んでるじゃないっスか」

「浦原さんやていつも見てるやろ『おばけ』」













  soleil〜ソレイユ〜













本当にびっくりしたんです……

貴方が目の前に現れて






「まだお日様、真上っスよ」

「非番やったんよ」

「…珍しい、……で、何か御用で?」

「ひどっ…用があらへんかったら来たらあかん?!」







顔をしかめる貴方
久しぶりに可愛いと思いました





「じゃあ何しにきたんです?」

「浦原さんの顔見に」

「じゃあもうお帰りになるんスね」

「…………」





本当に

お日様の下の貴方と

月に照らされる貴方は……





……これを言ったら

貴方は機嫌が悪くなるんでしょうね

だから、口にはしませんが

もう少しだけ

お日様の下の貴方を私に楽しませてください





「………昼寝や」

「ハイ?今なんて……」

「そ〜や〜か〜ら〜昼寝しに来たんよ!」

「………はぁそうっスか」





私の隣で縁先から足を投げ出す形で
おもむろに仰向けになって
貴方は脹れ面(フクレヅラ)





私は口元が弛みそうになるのを堪え
それを貴方に悟られないように立ち上がろうとした





しかし私はすぐに強い力に引き戻され
強制的に座らされる





「あの……何してんスか?」

「昼寝や」

「アタシは?」

「枕や」





私の膝を枕代わりに

貴方はすぐに寝息をたてる


私は貴方の額の髪を撫でる

その手はどんどん下降し
貴方の唇に触れた

その時突然、
私の手がつかまれた

貴方は瞼をゆっくりあげると
その水緑の瞳で私をみつめる





「…………」

「…………」





貴方はもう片方の手を
私の顔に伸ばすと
頬に手をあて、唇をなぞる




「キスしたいん?」

「いいえ、全く」

「素直やないなぁ」

「市丸さんこそ」

「…………」





にやりと笑い
とても嬉しそうに私を見上げる貴方





「どうしたんです?」

「やぁっと言うた、ボクん名前」

「…………」





そんなこと…………

……………気にしてたんスか





私は貴方の手を掴むと
貴方の唇にゆっくりと口付けた





可愛くて
愛しくて
まるで 子供





でも
消えてしまう
後少しで……





また
逢えるでしょうか





大人ではなく
子供の貴方に……



    §fin§


 

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