暁月夜

□mistake
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お前にあの子を近付けたのは間違いだった










『ボクは藍染隊長についていきます』





ギン、君は私を選んだ





『藍染た……藍染はんはボクの大切な御人やから』





きっとそれは本心に違いない





しかし、本当に君がそう想っているのはアイツだと





私は知っている











   mistake
















「ウルキオラ〜」

「何か御用ですか、市丸様
…………そんな処で何してるんです」





物陰からウルキオラを手招きする市丸
ウルキオラは怪訝そうに眉を少し潜めて
市丸に近づいた





「なぁ、浦原喜助に遇(お)うたってホンマ?」

「はい」

「そか……どんな感じやった?ウルキオラ」

「…………先程の報告をやはり御覧になっていらっしゃらなかったんですね」

「そうなんよ!いつも通り昼寝しとったら寝過ごしてん」

「…………」





寝過ごすのもいつもだろうと心の中で呟くウルキオラ





「……じゃあどこで御知りに?」

「グリムジョーや
さっきすれ違うた時に聞いたんよ」

「それならグリムジョーにお聞きになればよろしかったのに…」

「ん?どないして?その場に居ったんはウルキオラやろ?」

「グリムジョーは映像を…」

「……そんなんでホンマの姿はわからへんもん……」





そして市丸はもう一度問いた
ウルキオラは軽く息をつくと淡々と云った





「浦原喜助はデータ通りの人物でどこか飄々とした雰囲気を持っていました」

「そないな事やなくて元気やったかどうかが知りたいんやけど」





首を傾げるウルキオラ
そして「なぁどうなん?」と市丸に肩を勢い良く揺すられてしまう


早くそれから逃れたくて必死に言葉を紡ぐ





「うっ…浦原……喜助の…健康っ…状態に……異常…は見当っ…たり……ませ…んでし……たが」

「ホンマ?」

「はい」





解放されたウルキオラはほっと胸を撫で下ろす





「はぁ〜良(え)かったわァ……でもちょぉと複雑やったりして」

「……??市丸様??」





ウルキオラは少し表情が陰った市丸を心配する
しかし市丸はすぐにいつもの笑みを顔に浮かべた





「何でもあらへんよ!おおきにvVウルキオラ」

「いえ……」





市丸の後ろ姿を見送りながらウルキオラは頭の中で
市丸ではない他の人物の事を考えていた




その人物は自分が得た映像を見ていた時、
一瞬だけ殺気に似た雰囲気を纏った





ソレは浦原喜助が黒崎一護を助けにきた場面で起こった…





間違いなく浦原喜助に向けられたであろう殺気





先程からずっと頭の片隅に引っ掛かっていた事が

やはり市丸の言動と繋がりがあるのだ、と

ウルキオラは一人確信に近いものを感じていた……










****








自室で休んでいると
扉の向こうにギンの霊圧を感じた





「入っておいで、ギン」





扉からひょこっと顔を出し、笑顔を私に向けるギン




「邪魔やない?」

「ああ…ギンがいなくて寂しがってた所さ」

「それホンマ?ボクええ時来たわァ(笑)」








君へと手をのばす


できるだけ近くへ


この想いが届くよう……





しかしそれは今更で


もうどうする事もできないのだろう





一方通行の様で少し繋がっている私たち


中途半端な幸せでも
私は決して手放さない……



    §fin§

 

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