暁月夜
□夢魘
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貴方は罰の悪そうな表情で微笑っていた
「なぁ、浦原さん……ボク最高に気分ええわ
…それ、ボクのための涙やろ?なぁ、浦…はら……さん────」
溢れ出てくる涙が、頬を伝い
血の海へと吸い込まれるように落ちていく
私は肩を震わし、大粒の涙を零しながら
強く、強く貴方の動かなくなった躯を抱き締めた────
夢魘
「市……丸…さん?……あぁ、………」
夢だ、
そう理解しても今だに震えは止まらない
夢も現つも本当に残酷で
目覚めた私は哀しくて切なくて、一人泣いた
『死んでも一緒や』
『…は?』
『あっ、ボクが逝く前に、ボクが浦原さんを殺したげるから安心しぃ♪』
『市丸さん』
『なんや、その目……別にええやろ?ボクひとりは寂しいから厭や』
『……本当に勝手ですね、貴方は』
彼と交わした約束は何処へ消えたのか……
市丸さん?
私はいつも耳をすましているのに
貴方の声は聞こえません
貴方を失って
どんなに孤独だったか
どんなに寂しかったか
それでも私は
ただただ、訳もなく笑って
伸びた前髪と扇子で隠して
見えない涙を流し続けて
今だに此処で生きています
そして、貴方を待っている───
瞳をとじて 記憶を辿る
どんなに時が流れても
この想いが薄れることはないのに
貴方の声も 貴方の姿も
少しずつ溶けて鮮明に思い出せなくなっていって
溢れる寂しさを、私はどうしたらいいんですか?
市丸さん、
元気ですか
何処を彷徨っているんですか
何処で道草してるんですか
何処にいるんですか……
叫びたい程、いとおしい人
貴方の魂は何処にか────
吐in