仁
□ セイレーン
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「海っスよ!海!!」
赤也は何がそんなに楽しいのか、嬉しそうに砂浜を駆ける。
海の波が行ったり来たりする中で潮風に乗って香る磯の匂い。
嫌いじゃないけど何かと嫌な予感がする。
ブンちゃんも誘ってみたが
赤也に付き合うとろくな事にならねぇんだよ。
との事で俺と赤也だけで海に来ていた。
多分、ブンちゃんが正解なんじゃろうな。
あまりいい予感がしない。
今さらになって来たことを心から後悔する。
「何やってんスか、仁王先輩!!もっと楽しまなきゃ!!」
男2人で何をどう楽しめばいいのかねぇ‥‥
「それじゃ、俺は岩場の方にでも行っとるぜよ」
「気をつけて下さいねぇー」
棒読みで言われてもな‥‥
棒読みで言う赤也に手を上げて、俺は岩場の方に向かった――
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