IR
□奇妙な食卓へと
1ページ/1ページ
テーブルを挟んで向かい合う。
音を立てて、豆乳をすする、君が居る。
食卓は、殺風景で、灰色だ。
君のすする豆乳の、紙パックの色もわからない。
豆乳が大嫌いな僕は、君の喉に欲情する。
僕の嫌いな液体を、うまそうに嚥下する、白い器官に欲情する。
ここは灰色で、噛み付きたい。
君は、豆乳をすする。
僕は、君に欲情する。
君という人間が、本当はどこにも居ないことに気付かぬよう、慎重に
僕は、君を、いと惜しく愛でる。
音を立てて、豆乳をすする、僕が居る。
・