IR
□弦楽(アリア)
1ページ/1ページ
もし君が
僕を好きなふりをしてくれたら。
まぼろしでもしあわせでいられたのに。
僕も、君のこと好きなふりをするのに。
うそつきになれないから、独りになった。
僕らは、醜く、とても弱い。
純粋と愚鈍の間を行き来する。
変わることはなく、辿り着くこともない。
手をとった。
君は、温かだった。
ありがとう、と言った。
もう十分だった。
そう思おうとした。
ごめん、と言った。
離してやれなくて、ごめん、と言った。
この感情に、理由が無いことを知った。
君の手は、温かだった。
・