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□Cherry Blossom Fairy Tale/2
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明日が。君を。

俺の手の届かない場所へ。連れ去ってしまう。






俺は。いつから。

こんなにも。君のことを。

好きになって、しまったんだろう。

熱に浮かされながら。俺に微笑みをくれる。眼差しの真摯さと、迷いの無さに気付いた時から。

どんな理由であれ。俺の部屋を選んで、真っ先に訪れてくれた。君の脆さに触れた時から。

君とまた、音楽をやれるって。そんな機会を手にした時から。

お互いに。別々の道を。歩き始めた時から。

思いを込めて。大切に創り上げた、あの曲を。君が声にして。やっと完成したんだと。震えるような喜びが、胸に押し寄せた時から。

ライヴハウスで、危うげな。君の唄声を、聴いた時から。

君に。

君に。はじめて。出逢った時から。






着ているものを全て脱がせると。隆一の白い肌は、薄紅色に染まっていた。

体温が上がって、火照った身体は。より強い、桜の芳香を纏っている。

眩暈がしそうだ。

熱のせいなのか。これも病気の症状なのか。

わからない。わからないけど。

倒錯的な興奮が湧き起こって。

いつから、とか。どうして、とか。

そんなこと、きっと。答えられない。

ただ。

これだけは。真実だ。

俺は。君を。

愛してる。

こんなにも。欲しがってる。

限られた時間で。話さなくちゃいけないことは。たくさんあったはずなのに。

そんなこと全部が、どうでもよくなって。ただ。

今は。君に。

さわりたい。

君のすべてを。身体いっぱいに。

感じたい。

衝き動かされるままに。自分も服を脱いで。

裸の胸を合わせた。

「いのちゃん。あったかいね。」

君の両腕が。背中に回される。

気持ちいい。

柔らかな桜の香と。体温に包まれて。

護られてるみたいだ。

「身体。きつかったら、言って。」

そもそも。病人に何やってるんだって話なんだけど。

頷いて、はにかんだ。君の顔が。

あんまり、たどたどしくて。ぎこちなくて。

それが逆に。俺を煽ってるようにしか見えなくて。だから。

人差し指の絆創膏を剥がして。

花びらみたいな。傷痕を舐めた。

記憶に刻み付けるみたいに。一本一本、全部の指を。丁寧に口に含んで。

指だけじゃなく。他のところも舐める。

髪をかき上げて。露わになった耳の奥まで、舌を突っ込んで。

くすぐったそうに身を捩るのを制して。首筋のほくろを辿って。

乳首を舐めて。吸って。舌の上で転がした。

君は。息を潜めるみたいに。じっとしてる。

性器を触ってみると。そこは柔らかいままだった。

自分でする時みたいに握って、擦り上げてやったけど。全く反応が無い。

「なんか。ダメみたい。」

小さく呟かれて。顔を上げると。

君はすごく。申し訳なさそうな表情で。

そんな顔。させたくないのに。

「熱のせいかな。わかんないけど。たたないみたい。」

俺が勝手に、始めたことなのに。

君が、悪く思う必要なんて。これっぽっちも無い。

罪悪感に苛まれなきゃならないのは。俺の方だ。

それなのに。

「いのちゃんの。したいようにしてくれて、いいから。」

頬を真っ赤にした君の。頼りなく、消え入りそうな。その言葉に。

理性の箍を。はずしてしまった。






自分がこんなにも。

欲望に弱い人間だったなんて。

この年になって。初めて知る。

しなやかな両脚を抱え上げて。

勃起した性器を宛がった時。君は。

見たことも無いような。強ばった形相をしていた。

それでも。嫌だとか、やめろとは。一言も口にしなかった。

先端を潜り込ませる。

君の平らな胸が。ひくりと跳ねるのが見えて。

脚を大きく開かされて。灯りがついたままの部屋で。

全部を。俺の眼に晒されて。

唇を噛んで。眉を寄せて。羞恥とか。痛みとか。いろんなものに耐えてる君が。

心から。いとしいと思う。

この身体が、消えて。失くなってしまうなんて。そんなこと。

許せない。

考えたくない。

暗闇に引き摺りこまれてゆきそうな。重く冷えきった思考を追い払おうと。足掻いて。

目の前にある、君の。熱い身体だけに集中する。

滑りをよくするために、石鹸を使ってはみたものの。

お互い勝手がわからないせいか。なかなか、うまくいかなくて。焦れる。

君の身体に、過剰な負担をかけたくないから。

今更かもしれないけれど。早く終わらせてあげたい。

少しずつ入り込んだ。君の中は。

熱があるからなのか。怖いくらいに熱くて。きつくて。

蕩けそうだった。

やばい。

すごい。きもちいい。

新鮮な感触に。我慢が効かなくなって。

足首を肩にかけて。力任せに、腰を動かす。

君が少しも、感じていないのは。明らかで。

つらそうに、苦しそうに。眉を歪めて。額に汗を浮かべて。

皮膚の下の薄紅色が濃くなって。噛み締めた唇から洩れる呼吸は。呻き声を抑え込もうとするかのように。不規則に乱れてく。

こんな風にされて。気持ち良くなれるはずが無い。

痛いだけに。決まってる。

それでも。

やめることなんて。できない。

やめたくない。

ぎゅっと、固く閉ざされた。薄い瞼に唇を付けて。

目尻から零れる雫を。舐めとってやった。

それくらいしか。してあげられなかった。

二つに折られた、君の身体は。ちぎれそうに。悲鳴を上げて。軋んで。

溺れる子供が、必死で助けを求めるみたいに。縋り付いた爪の先が。俺の背中に食い込んで。

桜の香が。部屋いっぱいに満ちて。

気が遠くなって。

程なくして。俺は。

君の中に。射精した。








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