BLEACH

□虚無ゆえに
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そこに立っている人物は無表情のままだ。

「ああ、なんやもう来たんかいな」

ニヤニヤと嫌みな笑みを貼り付けて挑発する。
どう出てくる?
すると僕の視界が反転し、背中と顔面に強烈な痛みと鈍い痛みが走った。
殴り飛ばされて、勢いよく壁に激突していた。
口の端からは血が一滴つたい落ちる。
殴った本人はグリムジョーの方に目線をやっていたが、素早く向き直りこちらを見据える。
これは完全に引っ掛かってる。
僕は必死に堪えていたものを爆発させた。
腹痛いわ、この国宝級のド天然!!
腹を抱えて爆笑している僕にウルキオラは真顔で聞いてくる。

「何が可笑しいのです?」

「今、僕のこと、本気で殴ったやろ。そん時の気持ち、いってみ」

「?」

「グリムジョーを他の男に触られたーない。やろ?」

なんや分かってない様子やけど、その眼、獣じみとる。
相当キレとるみたいや。

「それが嫉妬や」

目を見開くウルキオラ。
その表情、世間では間抜け面ゆうねん。
も、もうだめ。
腸が捩れる!!

「ちょっと待て!」

ベッドの方向から怒鳴り声が上がる。
あっ、忘れてた。
グリムジョーのこと。

「そんなことの為に俺はこんな目にあったのか?!」

青筋をこめかみに浮かべて詰め寄ってくる。
まあ、当然の反応なんやけど。

「まぁまぁ落ち着いて」

今にも帰刃せんばかりの霊圧を放つグリムジョー。
何気に下向いたら抜刀しとるし。
一歩二歩と後退していくが背が壁に当たる。
あかん、逃げれへん。
冷や汗を垂らしながら突っ立っている僕。
鬼のようなキレ顔で睨み付けてくるグリムジョー。
絶体絶命の危機。
と思っていたその時。
グリムジョーがベッドの上へすっ転がされていた。
何が起きたのか理解に遅れたが、すぐに状況把握。
瞬歩を使いその場を離れた。






「あかん、あれ嫉妬の意味勘違いしとるかもしれん」

あれから幾日か経った時の僕のぼやき。
ウルキオラとグリムジョーはあの日いらい見ていない、て言うか出てこない。
命令はある意味成功、ある意味失敗で終わった。
今回のことではっきりした答えは1つ。
ウルキオラはグリムジョーに任せる方が良い。
最初からそうすれば良かったやんか。
僕は愚痴を溢しながら、日番谷はんの写真集を見ながら藍染はんからふんだくった休日を過ごした。
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