BLEACH

□虚無ですから
1ページ/1ページ

ラス・ノーチェス郊外。
俺は藍染の指示で、ウルキオラと共に任務をこなしていた。
任務の内容は、エスパーダに近い実力を持っているアランカルを探しだし、連れてこい。
いなければ、それでも構わない。
という何とも大雑把な任務だった。
で、結果は外れ。
骨折り損だった。

「チッ!藍染の野郎ムカつくぜ!!」

「口を慎めグリムジョー。たとえお前でも、藍染様への無礼な言葉は許さんぞ」

「へーへー。すみませんよ」

相変わらずの忠誠心だな。
忠犬ハチ公を思い出したぜ。
何処までも、藍染様藍染様、うるせーんだよ。
ちょっとはこっちの身にもなれ。
俺にも感情があんだよ。
嫉妬に狂いそうだぜ、くそ。
まぁ、こいつ虚無だから仕方ねぇけど。
だけどよ、少しは分かれよ。

「どうした、グリムジョー」

やっぱり、無理だよな。
無駄に疲れちまった。
何でこんな奴に惚れちまったんだ、俺。

「うるせーよ」

帰ったら、必ずぶん殴ってやる。
俺はソニードの速度をあげ、ウルキオラから離れようとした。
しかし、それは出来なかった。

「なっ?!何すんだよ!!?」

物凄い力で腕をひかれて体勢が崩れ、危うく顔面から地面に突っ込むところだった。
掴まれた腕が痛い。
どうやら変に捻ってしまったようだ。

「答えろ。グリムジョー」

無表情のままなのに、この威圧感。
何なんだよ。
まさか、ついさっきまで考えていたことを言えと言うのか?
冗談じゃねぇ!
そんなの言えるわけねぇ!
自分で思案しろ!
言わせんな!!
俺は無言でウルキオラの腕を引き剥がそうとした。
びくともしない。

「無駄だ」

「――クソッ!」

こうなったらもうやけくそだ。

「嫉妬だ」

「嫉妬?」

やっぱ分かってねぇ。
人が恥捨てて言ってみりゃこれだ。
頭痛がしてきやがった。

「答えたからもういいだろ。離せ」

ウルキオラはすんなりと腕を引いた。
だが、次に発せられた言葉に目眩がした。

「嫉妬とはなんだ?」

阿呆!
ボケ!
言葉の意味から教えなきゃなんねぇのかよ。
めんどくさい。
待てよ。
こういう時こそ、藍染に押しつけるチャンスだな。

「藍染様にでも聞いてみろ」

「そうだな」

それ以降、ラス・ノーチェスに着くまで、俺達は一言も喋らなかった。





後日。
ウルキオラのストレートな質問に、頭を悩ます藍染がいた。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ