BLEACH

□風邪
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隊舎のとある一角。
穏やかに清んだ空気を一蹴する情緒もなにもない、けたたましいだけの声が鳴り響いた。

「ぶぇぇっくしゃあぁーーん!!」

六番隊副隊長、阿散井恋次は風邪をひいていた。
垂れてくる鼻水を勢いよく啜り、机の上に陣取る書類の山を少しでも減らそうと努力する。
しかし、風邪をひき熱までだしている彼には仕事など無理だった。
普段から活用に不向きなおつむに、更なる負担は酷なことであった。





四番隊のベッドの上で彼は寝かされていた。

「あぁ〜〜ちくしょ〜〜」

病室の天井を睨み付け、暇だとぼやく。
じっとするのが苦手な彼は、例え向かない机仕事でもなにもしないよりマシなのである。
愚痴を溢していると、病室のドアがノックされ、ガラリとあいた。

「本当に風邪ひいてたのか」

入ってきた人物を見て恋次は驚く。

「一護」

「ルキアがお前が風邪でぶっ倒れたって言ってたから来ちまったけど、案外平気だったんだな。つまんね」

「あぁ?何がつまんねぇんだ、コラ」

嫌味を含ませつつも心配性な一護は、恋次のいつも通りの反応に満足した。
だが、彼等の二人の気性の荒さが災いし、ここで言い合いは止まらない。
第三者が介入しない限り。

「つまんねぇもんはつまんねぇんだよ」

「何だと!人が病気で苦しんで……へえぇぇっくしょぉーーい!!」

「キタねっ!何しやがる、眉無し!電子レンジ!!」

「うっせぇ!オレンジ頭!苺ちゃん!!」

「誰が苺だコラァ!!」

ますますエスカレートする二人の言い争いを止める強者は、隊長と副隊長が仕事のため留守でいない四番隊には皆無である。
その為、二人は口喧嘩から手が出る程の大喧嘩に発展した。

「ブッタ斬る!!」

「上等だ!かかってきやがれ、苺野郎!!」

この時点で二人は遂に斬魄刀を持ち出した。
恋次と一護は表に出て一戦交えそうになった。
しかし、そこに思わぬ珍客が突如隊舎の壁を突き破り姿を表した。

「久し振りいっちぃ!」

「勝負だ黒崎!!」

「「ギャアアア!でたぁぁーー!!」」

こうして、永い喧嘩の幕は下ろされた。
しかし、一護のついでに恋次までも巻き込まれての、十二番隊隊長、更木剣八の追撃を受けなければならなかった。
そしてその後、帰ってきた四番隊隊長、卯花烈にこってりと絞られ、風邪を悪化させた恋次が一人残されたのであった。

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