小説

□星夜の願い
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星の煌きとは不思議なもので、どんな願い事でも叶えてくれるような気さえする―――…。


「大兄貴ィ〜」
「んー?なんだ、蛇骨」
「口吸いしてぇ〜」
「ったくしょうがねぇな」目の前で繰り広げられる光景に己の拳が震えるのがわかる。
自分のその様子に気付かないかと思いもするがきっとそんな気の訊いた奴等ではないだろうと諦める。
「蛇骨、いい加減に大兄貴の膝から降りろ。今は作戦会議中だ」
とは言っても三人しか居ないが。
元々は今回の作戦案の説明をしている最中に蛇骨が割って入って来たのだ。
追い出さないだけマシだと思って欲しいところだが…
「えー!おれ、もっと蛮骨の兄貴といちゃつきたい!!」
やはり大人しく引かないかと思いながら口を開く。
「…ったく、じゃあ終わってからにすればいいだろう」
「だって長くなりそうじゃん!」
ぶーぶーと文句を垂れる蛇骨にふとある話を思い出した。
「蛇骨、面白い話を聞かせてやる」
にやりと笑った俺の顔に蛇骨はキラキラと瞳を輝かせながら何なにと聞いてくる。
「とある昔話だ。働き者の娘と働き者の男がいた。娘はお偉いさんの娘で男は只の牛飼い。だが、働き者の二人だからという事で祝言を挙げる事を許された」
「んだよ、女の話かよぉ!」
「それで?」
蛇骨は案の定文句を漏らしたが、大兄貴によって先を促される。
「二人はめでたく祝言を挙げたがその後の二人は二人一緒にいる事ばかりに固執して全く仕事をしなくなった」
先程まで文句を垂れていた蛇骨はいつの間にやら少し先を気にしているようで、黙って先を待っていた。
「それに怒った娘の父親は川の此方側と向こう側とに二人を引き離したんだ。そして二人は年に一度、決められた日にしか会う事が適わなくなった…」
「なんだよ、そんなの引き離した事になんねぇじゃねぇか。川渡って会っちまえばいいもんよ」
俺の話の終わりに不満そうに、そして小馬鹿にしたように言葉を放つ。
それに一つため息を漏らし、蛇骨を見やる。
「そんな事して一生逢えなくなったらどうすんだ?」
ぐ、と少し吃り不満そうに此方を見てくる。
「つまり、俺が言いたかったのは色恋沙汰もいいがやるべきことはやれって事だ」
言いたい事を言いつつ重い腰を上げる。
「あれ?兄貴どこ行くの?」
きょとんと見上げてくる蛇骨にまたため息を漏らし大兄貴の方に視線を移す。
「今日はもう部屋に戻って寝ます。続きはまた明日」
「おぉ、もう結構夜も更けてきてんな。ゆっくり休め」
開けた襖から覗いた空には綺麗な星々が瞬いていた。
「では失礼します。」
そして星達に見送られながら俺は床へと尽いたのだった。


*****

ふと肩へと暖かい温もりが落ちてきた。
先程まで単に俺の膝に据わり、煉骨が去った襖を見やっていた蛇骨だ。
「どうした?」
俺の肩へと頭を預け、ぼんやりと天井を見ている。
「ん…なんか、ね」
妙にしんみりとした声で返事が返ってくるもんだから拍子抜けした俺はふと思い当たる節を思い出した
「もしかしてさっきの話気にしてんのか?」
茶化すように言うといきなりかっと此方を向いてきた。
「ち、ちがっ…別にそういう訳じゃ…」
あまりに必死に答えるものだから可笑しさと愛しさで膝の上の蛇骨を思い切り引き寄せた。
「安心しろよ、俺達は離れたりしないさ」
そう言って覗き込んでみると、いつもならすぐに表情を明るくする相手が未だに表情を暗くしている。
どうしたのかと再度口を開こうかとしたら先を越された。
「…そりゃあさ、おれだって離れる気はないよ?でもさ…できればおれは死んだ後も蛮骨の兄貴と一緒にいたいなぁ…」
珍しく気弱な姿を見せるものだからどうしても安心させたくて更に力強く抱き締めた。
「ばーか、おめぇの事だ。俺が嫌がっても傍に来るに決まってんだろ?」
勿論嫌がらねぇけどな、と付け加えて再度見下ろすと先程までの表情が嘘のようにきらきらと此方を見上げて来ている。
わかりやすい奴だなと思いながら、改めて目の前の相手の温もりを感じるのだった―――。


***************

なんか長い上によくわからないような話にorz
頑張ろう←
 

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