小説

□目的地
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追いつこうとして追いかけてもいつも遠ざかる
貴方の“隣り”に立ってみたかった
これは人間で言う「憧れ」に近かったのだろうか…?





意識が朦朧とする。
一体自分は何処まで来れたのだろう?
出来れば童守町よりなるべく遠くまで行きたい…。
自分ではない「玉藻」の姿を
ライバルである鵺野鳴介には見られたくない。
我ながら馬鹿だったな
もう少し早く童守町から去っていればこんな姿、見られずにすんだのに。
それでも、胸の辺りで何かがまだ其処にいたいと望んでいた。
− まったく…本当に人間と関わり過ぎたな… −
それでもまだ望んでいる。
出来ることならばまだ傍にいたい、と。
「鵺野先生……」
強い眩暈がする。
眩しい日差しが自分を照りつけている感覚があった。

− まぶしい…結局私は、貴方に追い付けなかった −

ぐらりと世界が揺れる感覚が襲い、そのまま闇の中へと誘われた。


妖怪にも生まれかわりというものがあるのならば
次こそは貴方の隣りからの景色が見たい…






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九尾編の廃人になる前の捏造話。

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