小説

□聖夜の贈り物
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クリスマスの奇跡。


そんなもの、信じちゃいなかったけれど…―――




*****



「はぁ…」
吐く息は白く漂いすぐ消える。
凍える夜空の下、任務疲れでだるい足をひたすら自宅へと向かい動かす。
もう結構な夜中だというのに世間はキリストの誕生日に浮き足立ち、未だ街中はキラキラと色とりどりのイルミネーションに彩られていた。
「クリスマスねぇ…今更祝うようなもんでもないわよね。子どもな分けてでもないし…綺麗だけど」
誰もいないのをいい事にそんなことを1人でごちる。
誰が始めたのかこの聖なる夜は恋人達のもののようになっていた。
今は傍にいない愛しいあの人を思い浮かべ鼻につんと来たものを寒さのせいと誤魔化す為に星空をぼんやりと見やる。
「大好きな人と一緒に過ごせたらまた感じ方も違うのかなぁ…」
幼い頃はなんだか特別に感じる夜にプレゼントやらなんやらで幸せを感じていた。
しかし、純粋に幸せを感じるには自分は成長し過ぎてしまった部分があるのだろう。

「あー…さむ…」

身震いし、家路を急いだ。

自宅では両親がケーキを用意しててくれた。
もうプレゼントなんて年齢ではないけど、ケーキだけは毎年のように用意してくれる。
そんな優しい両親に感謝しながら甘いそれを胃袋に納め、自室へと向かい疲れた身体を休める為寝支度を整える。
ふと外へと目を向けるとそこには天からの白い贈り物達が沢山舞い降りて来ていた。
「雪…」
久し振りに見たそれに少し見惚れ、窓に手を付いた。
ひんやりとしたガラスの感覚を気にすることも忘れじっと見つめる。

もし、聖夜に欲しいものをくれる妖精さんがいるなら…サスケくんを感じられるものを私に下さい――…

「なぁんて…夢見がち過ぎるでしょ、私」
自嘲ぎみに笑い、ベッドの中へと潜りこんだ。

せめていい夢が見られるといいな、と密かに願いながら…。


その夜は久し振りにとても幸せだった頃の七班の夢を見た。
ナルトが馬鹿やって、サスケくんが馬鹿にして、ナルトが突っ掛かって行って、私が止めて、カカシ先生が呆れて見てる。
それでも皆なんだか幸せそうで、"今の私"からは何だか眩しくて涙が出そうになった。




「ん…」
差し込んできた日差しに刺激され、目を覚ます。
ぼんやりする頭でこっちが夢ならいいのになんて馬鹿みたいなことを考えてベッドから抜け出した。寒い空気に頭を覚醒させてもらってふと枕元へと視線を移した。

「…え?」
そこには昨晩全く見た覚えのない時期外れの桜の小枝。
この季節にこの国では花弁を付けないその花が、今小枝に身を結び咲き誇っている。
それを見て浮かんだのは彼の人で…。
私に時期外れの贈り物を届けてくれたのはサンタか妖精かはたまた―――

「有難う」

いずれにせよ今日の夢見も良さそうだとそう思った。

fin
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クリスマス祝い?にサスサクを!と思って書き出したらよくわからなくなった^q^←
一期とか未来捏造とかにすればよかったと思いました(殴

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