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□権謀術数 −奏太side
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「奏太帰ってたんだ〜。お帰り、今日も可愛いね!!」
兄貴がテレビでも中々見せない様なデレデレな笑顔で抱きついてこようとする。
それを手で阻止しながらチャンネルを変える。
あ、龍崎ナナの特集してる。
今度龍崎ナナの漫画、アニメとドラマになるからなぁ…。
「あれ奏太、龍崎ナナのファンだったけ?今度のドラマ俺出るよ〜。」
兄貴が僕の手を外しながら言う。
その顔は本当に俳優と思えないぐらい崩れてる。
…コイツ、マジで俳優やってて大丈夫なのか?
「いや、特集してたから。もう違う特集してるし。」
そう言ってテレビを指さしたのだが、画面に映し出されていたのは僕も会員になっている動画共有サイトだった。
「…なんか最近こういう特集ばっかりだな。」
「…うん。否定はしない。」
兄貴が少し呆れたように言う。
僕も少なからず思っていたので微妙な顔をしながら答える。
「あ、この環樹って奴奏太好きだろ?」
いきなり言われて画面を見ると所謂〈歌ってみた〉と言うタグを取り上げていて、いろんな〈歌い手さん〉と呼ばれる人達が映し出されていた。
兄貴が指さしていたのはその中の一人で僕はその人のファンなのだ。
同い年とは思えない歌唱力でしかも女性。
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