09/13の日記

17:10
百合と柚穂と飛鳥。
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百合が吹っ切れる時の話です。三人が一年生の頃で入学してしばらくたった頃です。

一応設定

・奥田百合
ギャル系でクラスの中心グループにいるが、本当はキャラ作りをしている。まわりを気にして生きている。昔コンプレックスの事でイジメられていた。

・園寺飛鳥
男の子なのにセーラー服を着ている。男子とは仲が良いが女子からは疎まれている。

・市瀬柚穂
女子なのに学ランを着ている。男子とは仲が良いが女子からは疎まれている。













「ねぇ、イチセユズホとソノデラアスカってウザくない?」
何気なく女子が会話をしていた。全員がメイクで素顔が分からないぐらいだ。
その中に百合はいた。
同意してあそこがウザい、あそこが気に入らないと言い合うメンバーの中で百合は1人考えこんでいた。


放課後、百合は1人屋上にいた。
昼間一緒にいた子達はバイトやらデートやらで帰って行った。
百合は1人昼間の会話の事を考えていた。
市瀬柚穂と園寺飛鳥。
2人は女子に疎まれている。
『女子』なのに学ランを着て、男子にしか見えない格好をする柚穂。
『男子』なのにセーラー服を着て女子にしか見えない格好をする飛鳥。
そして男子と仲が良い2人は女子からしてみれば異質で理解しがたい存在だろう。
学校側も私服OKの為、何も言えないのだ。
百合は女子の変わり身の早さにあきれていた。
入学式の日、男女の入試成績トップだった2人は新入生挨拶をした。
それから鬱陶しい程2人に絡んでいた女子は体育の授業で真実を知ってから2人を無視しだした。
百合も他の人にあわせて行動していたが本心は違っていた。
百合は2人が羨ましいのだ。
自分を偽らず、堂々としていられるのが。
百合は昔コンプレックスであるまゆ毛の事でイジメられていた。
実はハーフであり、灰色の髪である百合はまゆ毛も薄く、それを気にして昔からまゆ毛を書いていた。
その事でイジメられてから百合は他人に合わせて生きてきた。
ギャル系メイクも相手に合わせる為だ。
今までは大丈夫だったのだが、今になってそれが苦しくなったのだ。
ただ、今更自分をだすのが怖いのだ。
1人自問自答しているといきなり屋上のドアが開いた。
「あれ、奥田か。珍しい。」
「おやまぁ、奥田百合?リア充のアイツ?」
入ってきたのはまさに考えていた飛鳥と柚穂だった。
「園寺君と市瀬さんだぁ〜」
百合は一瞬でいつもの『仮面』を被った。
百合にとってはこれが普通だった筈だ。
「ヤッホー。何してんの、奥田。」
「ん〜、明日探し?」
「は?有り得ない。馬鹿か。」
今はキツい柚穂の言葉も丁度良く感じた。
「なぁ、奥田百合。あんた楽しいか?」
いきなりの言葉に百合は一瞬理解できなかった。
「…なんのことぉ?」
「無理やりなギャル系メイクとフリ。あんたワザとだろ?」
「ボクらが分かんないとでも思った?そこらの子じゃあるまいし。」
柚穂と飛鳥の言葉に考え込んでいた百合が観念したように口を開いた。
「…いつから分かってたの?アタシ、結構頑張ってたけど。」
百合の砕けた言葉使いに今まで無表情だった柚穂が少し微笑んだ。
「最初らへんから。あんた、分かりやすかった。もうさぁ、キャラ作り辞めたら?」
「確かに。奥田、肌荒れ酷いよ〜。化粧品合ってないみたいだし。」
2人の言葉に百合は体を堅くした。
「だって怖いじゃない。みんなに本心だすのって。」
「しょうみさぁ、どうでも良くない?周りの評価って。」
「大丈夫だって!ボクらみたいなのがいるんだし」
百合の気弱な発言に励ます2人。
「…そう言えば、なんで2人ともセーラー服と学ランなわけ?」
百合のいきなりの言葉にぽかんとした2人は顔を見合わせた。
「あたしはお金がかかるから。」
「え?」
柚穂の言葉にぽかんとする百合。
「だから、兄貴2人が大学行ってお金かかるからウチ制服自由だし、丁度良かったんだよ。」
「ボクはおばあちゃんがウルサくてね〜。元々体弱かったからって迷信で女の子の格好しろって。しょうがないからやってるけど。」
2人の理由を聞いた百合はなんだか悩んでたのが馬鹿馬鹿しくなってきた。
「あ、もうすぐ帰んないとアニメ始まる!」
「えっ!!マジ?帰ろう!!」
時計を見て柚穂と飛鳥が騒ぎだし、走り出した。
「あ、じゃあまた明日ね、奥田!」
「じゃあまた!」
そう叫んで2人は帰って行った。
1人残された百合は何かをつぶやきだした。


次の日とある騒ぎが起こった。
百合が素顔で登校したのだ。制服ではなくジャージ姿で。
騒ぎを聞きつけた柚穂と飛鳥は百合のクラスに行った。
そこには自分らしい偽りのない百合がいた。

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