詩愛の文。

□少女のお部屋。
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その場所へは、意外と簡単に着いた。
半開きの扉。
中に見えるのは・・私の部屋ではない。
私は一気にその扉をくぐって、辺りを見渡してみた。
さっきの場所とは違って、外ぐらい明るい。
でも、ここが一体どこなのか、検討もつかない。

私は、もっと奥へ進んでみることにした。
幸運にも、道はひとつしかない。これなら戻るのも簡単だ。
明るいだけで何も無い道を、ただひたすら歩いた。
十分、二十分、・・時計が無いので分からないが、もしかしたら数分しか歩いていないのかもしれない。

目の前に、大きなお城のようなものが見えた。
私は、どうしたらいいか分からずに、そのお城を眺めていた。お城の向こうには、大きな草原しか見えなかった。
「いらっしゃい・・」
後ろで声がした。振り向くと、浴衣のような服を着た17、8才女の人がいた。
簡単にいうとおかっぱ頭、そしてどこか暗い瞳。何よりも気になるのが、短すぎる浴衣のすそ。
「貴方が新しい仲間ね〜?ふふ、よろしくね。」
その女の人は、ゆったりした口調でそう言った。彼女の笑い方は、悪い感じはしなかったが、どこか人間ではないようで恐ろしかった。
そして彼女は、私に城の中を案内すると言い始めた。
怪しいとは思ったが、他にどうしようもないと思い彼女に案内されるままに城の中に入ることにした。

城の中は、外から見るより狭く感じた。
「理枝ちゃ〜ん」
彼女は城の中に入るとすぐにそう言って誰かを呼んだ。返事は無い。
すると彼女は床を見渡して、
「あっちね。」
と、走って行ってしまった。
私も床を見てみた。足跡でもあるんだろうか、と思って。
しかし、私が見つけたのは足跡ではなく、血の滴った跡だった。
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