アルカディア
□〜序曲〜
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『あ〜
うるせぇ〜』
「な、何回
呼び出されたんだ」
『……5回かな』
「5回だぁぁぁ」
「何で俺に教えないんだ〜〜〜」
政治が俺の胸ぐらを
掴んだ
鞄が落ち中身をばらまいた
『いちいち
教える事じゃないだろ』
「親友だろが〜」
…いや、悪友だろ(笑)
「それで〜
5人の子とはどうなった〜〜」
『だからさぁ
遊びだっての』
「遊んだって〜
フミヤの不潔〜」
─違っ
『落ち着け
少し落ち着け』
政治、目が怖ぇぇ
『だからさ
伝説を試したくて
俺なんかを呼び出すんだろ』
「あ?」
『シャレが解ると言うか、安全と言うか…』
「お前の何処が安全なんだよ」
『……さぁ?』
「お前ばかりが何故モテる」
『モテてねぇって』
─酔っ払い親父より
始末が悪いな…
俺は鞄の中身を鞄の中に入れた
─あれ?
もう一つ封筒があった
見覚えのある文字…
「フミヤ、また手紙かぁ?」
急いで中を開ける
─『伝説の木の下で
待ってます…』
…今日の手紙だろうか
それとも前の…
…差出人の名はない
でも、名はなくても誰が書いたかすぐわかる
─かすみ
俺の幼なじみ
俺は鞄を持ち伝説の木の下へと走った
「おい─
フミヤ何処行くんだよ」
政治の声を遠くで聞いた
─俺とかすみは
お隣さんで小さい頃から一緒に遊んでいた
高校に入る頃から、お互い意識しだし、話さえする事はなかったのに…
───────────
…伝説の木の下
既に誰もいない…
俺は小高い丘に立つ木の根元まで来て
乱れた息を整えた
……いるわけないか
辺りを見渡して
俺は肩をすくめた
─「……郁弥くん?」
帰りかけた俺に
後ろから声がした
ゆっくりと振り向く
伝説の木の下の後ろからかすみが姿を現した
『かすみ……』
「……来て
くれたんだ……」
かすみが嬉しそうに笑った
…良かった
今日入れた手紙だったんだ…
「…嫌われてるのかと思った…」
俺は驚いた
距離を置いてるのはかすみだと思ってたから…
『……別に嫌ってなんか…』