[あなたの好みは]



あら、やだ。

団長さんってば‥
そんなツレナイところも好きよ

深く溜め息を吐き捨てる僕。

また“あの人”に 絡まれて‥、僕は何度あなたを助ければいいんですか‥?


「今じゃないといけないのか?」

彼女は道具売りのララベルさんでお得意の上目遣いでアイクの口から何か言わせようとしてるみたいですが‥無駄です。

「えぇ、もちろん!!今じゃないとダメにきまってるわ、それに‥っ、」

「アイク、ここにいましたか」

しつこく詰め寄る彼女とアイクの間に割って入る僕は「捜しましたよ」と付け加える。

「‥セネリオ後は頼んだ」

はい、もちろんです。僕はそのためにきたのですから‥。

「で、アイクに何かご用でしょうか?ララベルさん。」

「もう‥。アイクさんたら‥、じゃあ、さっき渡しそびれちゃったから団長さんに」

僕の手には光魔法の魔道書。

えぇ、ありがたく頂きますよ。

ですがララベルさん。

アイクには物で釣るのは不可能に近いのをご存知ですか?

なぜなら、アイクは肉以外は
興味を示さないんです。


僕も意地悪ですね。

アナタに頂いた魔道書を手にし僕は何一つアイクの情報を教えず去るのですから。

まだ早い‥アナタには
教えませんよララベルさん。


アイクの好みは「肉」だと。




【完】 あなたの好みは




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