★文【パラレル】★

□優しい君へ 2
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走らないで下さい!!という看護婦さんのお叱りを流しながらルフィは全速力で走っていた。そして勢いよく病室の扉を開け放つ。

中に居たのは鳩が豆鉄砲食らったような顔した医者と看護婦さんとこちらを無表情で見つめる、緑髪の青年だった。
「な、なんだね・・君は」
いきなり入ってきた男にかなりビビりながらも医者は問いただした。看護婦も医者の後ろに隠れるようにして様子を見ている。
「あのっ・・・俺刑事なんだけどこいつの事巻き込んじまって・・んで記憶が無いって聞いて・・・・急いでここまで来て・・、」
走ってきたせいか息を切らしながらたどたどしく経緯を話す。医者も合点がいったようで彼の容態や情報を説明してくれた。
「彼は自分の名前から忘れてしまっている。多分頭を強く打ったせいだと考えるが、それ以外は軽い打撲だけで済んでおる、ある意味奇跡かもしれない」
「そぉか・・・」
チラッと青年を見た。鼻筋は通っていて切れ長の目にシャープな顎かなり美形に入る。だが眉間にしわがよっていて明らかに機嫌は良くない事がわかった。
それもそうだろう。目を開けたら自分が誰なのか分からないのだ。自分でも不安になるし、機嫌だって悪くなる。
「こいつの持ち物か何か届いてねぇか??」
とりあえず身分がわからなければ始まらない。
「それが・・他の警察の方がおっしゃっていたのですが持ち物は財布とコンビニの袋だけだったそうです袋にはお酒が沢山・・」
「それだけか・・」
まだ日はたってないが、もし家庭があるとしたらさぞかし心配してるであろう。
「財布の中に保険証とかは?」
「何もありませんでした」
「・・・厄介だな」
「それと、そのコンビニの袋なんですが・・事故現場の半径3kmには無いコンビニのものらしいんですよ」
「へ・ぇ〜・・・」
看護婦も話題に加わりますます、この青年の正体がわからなくなってしまった。 ルフィはややこしくなり頭をかきむしった。
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