サイト一周年企画

□護るモノ
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ピリリと感じた空気を感じて水平線から太陽が滲み出した夜更けに目を覚ましたゾロはすぐに自分の異変に気付いた。


「・・・う、ん」


だりぃ・・・
べったりとシャツを濡らす汗に荒い息。明らかに不調を訴える身体を無理矢理持ち上げ気配を探る。いつもの傷がぶり返したせいだろうと自分に言い聞かせながら頭を軽く振って腕で支えて見張台から立ち上がった。
身体にかかっていた毛布がパサリと落ちた。


「・・・ちっ」


やはりというか。
先程の空気は間違いでは無かったらしい。太陽の昇る方角に見える一隻の船。ゆっくりとこちらにやってくるその一番上には、ドクロに弓矢が刺さったマークの海賊旗。紛れもない海賊船。甲板には質の悪い海賊達が立ち並び、いつでも戦闘OKな状態だ。


「おい!!!!全員起きろ!!!!戦闘だ!!!!」


叫んだと同時にゾロは見張り台から素早く甲板に飛び移るが、熱い身体は言うことを聞かず皆に気付かれないように壁にもたれ掛かった。
すぐに出てきたのはキッチンで仕込みをしていたコックと、朝が強いナミとウソップ。いつものように船長は寝惚け眼で一足遅く合流した。


「こんな朝早くから!!非常識が乗ってるのよ!!あの海賊船は!!!!」
「いやいや、海賊に常識なんてねぇって」


ウソップにツッコまれながら愚痴を言うナミはそういいつつもメリー号がいつでも動ける位置に然り気無く海賊達を誘導する。頼もしい航海士だ。



「なんだ、戦闘かぁ・・・寝させろよ〜〜」
「島が近いからここは岩山が多いわ。小振りの船のほうが有利なはず!!メリー号は私達に任せて、みんな!!ちゃっちゃと片付けて寝させてちょうだい!!」
「はぁい!!ナミさん!!!!」


しかし、その岩山が不利な状況に導く道標だったことを、まだこの時は気付けずにいた。

















島の影響で浅瀬や岩山が多い中の戦闘だったので、ナミとウソップが船を動かす役目としてメリー号に残った。メリー号に寄せ付けてきた敵船にルフィとゾロとサンジが乗り込んだのを確認すると安全な場所までメリー号を動かした。


「おい!!ナミ、行っちまうのかよ!!」
「バカね!!いざというときにいつでも動けるほうがいいでしょ!!あとはあいつらに任せましょ!!」


双眼鏡で敵船内を確認しながら、ナミはウソップに付かず離れずの位置を微妙に読み、舵の指示を出す。


「・・・でもあの海賊旗・・・見たことあるわ・・・」


何処で見たかは流石に思い出せず、ナミは風に翻る海賊旗を睨み付けていた。
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