サイト一周年企画

□愛し君
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夕陽が世界を赤く照らす
海は輝き、その海を進む船はとても穏やかにゆっくりと進む
グランドラインに入ってから、ますます広く感じれる、この大海原
何となく眺めていると、すぐ横から明るい声が聞こえた




「ゾロ!!好きだぞ!!」




あぁ、もう何回この言葉を聞いただろう




「はいはい」



メリー号の船首に跨がって海を見つめる、うちの船長を横目に見て俺は素っ気なく返事を返した
そうやって見つめる海や、風で飛ばされないように押さえる麦わら帽子
ナミ、ウソップ、サンジ、チョッパー、砂の国を愛し続けているビビや、ロビン
全部同じ“好き”なんだろ?
俺はお前の見据えるほんの僅かな世界の一部に過ぎない


「なんだよ、その反応。嬉しくねぇのか?」
「・・・嬉しいさ」


お前はこの世界の全てを愛しているから
そしてこの世界を手に入れる男だから
そんなお前のクルーになれて、好きだと言われてすげぇ嬉しいさ・・・だけど


「本当に好きなんだ」
「知ってる」


そう言って、お前はすぐ俺をからかうから
勘違いしないように、冷やかすのが精一杯だ
困ったように笑うゾロを見たルフィが言葉を発しようとしたとき、キッチンから夕食の出来た声が聞こえた


「あぁ、もう飯か。行くぞ、ルフィ」
「お、おぉ」


すたすたと先を行くゾロを追ったルフィは、手を伸ばしてゾロを掴もうとしたが、ふっと空振る
少し悲しい顔をしてゾロの後ろ姿を見つめていた
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