サイト一周年企画

□たまには、ね
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ザァアアアン・・・

波の音に意識が浮上したルフィはようやく目を覚ました。とは言うものの日は昇り始めたばかりだ。汗ばんだ身体で起き上がろうとして何かの重みに気付く。


「お」
「・・・ん・・・、」


ルフィの肩の辺りに腕を回したゾロを見て、ルフィは起こさないようにゆっくりと先程の体制に戻った。パサリと二人の身体にかかっていた布が落ちる。日の光が窓から入り込んで二人を照らし、ゾロの寝顔をはっきりと映し出す。眩しそうにゾロの眉が寄った。チュッとその寄った眉にキスをするとルフィは短い髪を撫でた。


「う・・・・ん〜〜・・・」
「ゾロ〜〜、起きるか?俺腹減ったよ」
「・・・・・・ん」


ゆるゆると瞼を開けた時のゾロの表情が色っぽく、ルフィは思わず見とれた。


「おはよ、ゾロ」
「・・・ぉう」


返事をしたゾロはまだ今の状況が飲み込めないらしい。目だけを動かして今自分がいる空間を見渡しているようで、ルフィは不思議そうにその行為を見つめていたがゾロの眠そうに蕩けていた目が思い切り見開き、みるみるうちに赤くなっていく顔を楽しそうに覗き込んだ。


「・・・あ・・・///」
「どうした?ゾロ」
「い、いや・・・」








・・・・・・

遡ること昨日、この沢山の小さな島が点々と集合した珍しい島にルフィ達はやって来たのだ。一番の主となる島にサニー号は停泊出来たが、ルフィは小さな島に興味があるらしく、冒険に行きたいと駄々を捏ねた。浅瀬になっていてサニー号は近付く事が出来なかったので仕方無しにミニメリー号を出して船長の機嫌をとったクルー達だった。


“ゾロ、あんたルフィと行きなさい”


ナミの言葉に反論しようとした矢先、ルフィに無理矢理ミニメリーに乗せられて気付いた時にはサニー号が小さく見えていた。初めてミニメリー号に乗ったゾロは改めて乗り心地の良さと久しぶりにみるメリーの頭にいつの間にか笑みを浮かべていた。


「ゾロ、楽しいか?」


ふと、前にいたルフィはゾロの顔を見ずに海を見つめたまま尋ねた。別に口に出して笑った訳ではないのにルフィには筒抜けだったようだ。


「そうだな」
「最近慌ただしかったからな、今日は冒険しまくろうぜ!!」


そう言って両手を青空向かって大きく広げたルフィの表情が、見なくても手に取るようにわかって再びゾロはクスリと笑ったのだった。
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