サイト一周年企画

□囚われの魔獣
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ガシャアンッ!!!!


美味しい地酒を飲んでいたゾロの手からジョッキが滑り落ちる。途端に酒場の空気が一変した。
ゾロを見つめる輩の目は地元の奴が酒を楽しんでいるそれではない。



「大丈夫か・・・?飲み過ぎじゃないのか」



そう言った酒場の店主を斬りつけてやろうかと睨むが、時すでに遅し、身体中侵される痺れに悔しそうにゾロは舌打ちした。



「ここがどんな場所か・・・知らずに来たな」
「そりゃあ巷には出回らないよ。ここで捕まった輩は・・・二度と日の光を浴びる事が無かったんだから」
「く、るな・・・」



ワラワラと近付いてくる男達にゾロはカウンターからガクガクと崩れ落ちそうな身体を必死に動かしたが、近くにいた男に肩口を蹴られ盛大な音をたてながら転がってしまった。
途端に周りから下品な笑い声が小さな酒場に反響する。



「くくく!!海賊狩りも薬にゃあ勝てねぇか?」
「当たり前だ、新種だぜ?こういう大物の為に流通された傑作品だ!!」
「・・・っ、く、」
「お楽しみはこれからだぜ?この薬の効き目は後からジワジワくるんだからよぉ・・・」



そう言いながら卑劣な表情でゾロを見つめた男の酒臭い息が首筋にかかる。ピクリとも動かなくなってしまった自分の腕を他人事のように見つめながら絶望にズルズルと身体を地に沈ませる。酒場中から聞こえる下品な笑い声を遠くで聞きながら、ゾロの意識はプツリと途切れた。
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