サイト一周年企画
□隠し味は・・・?
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それは何気ないルフィの一言から始まった。
「ゾロ、腹減った。飯作ってくれ」
「ああ??」
弱い海賊船と出くわし喧嘩を買った麦わらの一味。軽い戦闘後の余韻に浸っていたところにその一言を投げ掛けられ、今俺の名前が出なかったかとゾロの不機嫌そうに歪められた眉間に増して皺が寄る。大げさなため息を吐いてゾロはジロリとルフィを睨んだ。
「今、何て言った?」
「おお、飯作ってくれ」
「・・・誰が誰に頼んでんだ」
「ゾロって言ったぞ俺は」
「・・・わかってるが、この船には専門の奴がいるだろうが」
ゾロの言う専門とはサンジの事を指すのだろう。
確かに彼がいるのであれば、この海賊船の戦闘員に頼むことではない。それを知ってか知らずかルフィはゾロをきょとんと見つめていた。
「剣士さん」
「?」
ロビンが助け船を出すかのようにゾロの隣に座ってニッコリ、笑いかけた。
「ルフィは、愛妻料理が食べたいんですって♪」
「・・・・・・あい・・・さい・・・」
ロビンの言葉を上手く理解出来なかったのか、ゾロはしばらく動けなかった。
「そうだゾロ!!あいさい弁当食いてえ!!」
「あなたなら大丈夫かと思って」
私ちょっとどうしたらいいかわからないの、とロビンは白々しく溜息をついた。
「てめえ・・・しらばっくれるなよ」
「あら?だってそうでしょう。私はルフィの愛妻では無いし」
「は・・・・?」
「百聞は一見にしかず・・・作ったほうが早いって私がルフィに提案したの」
「・・・」
「そうしたらあなただって聞かないから」
「・・・・・・確信犯だろ」
「さあ??」
にっこり微笑むロビンの表情とルフィの輝かしい笑顔に嫌々ゾロはキッチンを借りることにした。
キッチンの前に立ち、さてどうしたものかと試行錯誤していると、背中から感じるじとーっとした視線に振り返ると、主であるサンジが恨めしそうにカウンターから覗いていた。
「・・・なんだよ」
「心配なんだよ・・・キッチンが」
キッチンかよ、と口に出そうとしたがどうでもいい喧嘩になりそうな空気だったので我慢してむっつり黙り込む。
「・・・ぜーーーったい壊すなよ」
「うるせぇな」
まさに一触即発状態ながら、見張り1ヶ月分とルフィの為の愛妻料理とが取引されたのだった。