★文【パラレル】★

□優しい君へ 2
5ページ/7ページ

「・・・・っく、・・っ」
病院の屋上でルフィは泣いた。死んでしまった訳ではないのに、ゾロにもう一生逢えなくなるとそう思うと涙が止まらないのだ。
元はといえば俺とゾロの接点なんかあの事故だけ・・。きっとこれでゾロの記憶が戻れば俺なんか憎むべき相手になるだろう。
それがとてもとても、悲しかった。

「・・・・っルフィ・・」
もう慣れすぎるくらい慣れた声がルフィの耳に届く。後ろからスリッパの音が近づいてきた。
「・・ゾロごめん。俺、お前を事件に巻き込んじまったんだ。そのせいでお前の記憶、無くなっちまって・・ホントは責任感じてお前の世話してたんだよ・・。」
「・・・。」
ゾロがついにしゃがみこんだルフィの隣へ立ち、手すりにもたれて空を仰いだ。
「俺な・・・あの夜自殺しようとしたんだ」
いきなりのゾロの言葉にルフィは弾かれるようにゾロを見上げた。今何て??あの夜って言ったか?
「お前、記憶・・・」
「本当は3日後には思い出してたよ。けど・・・信じられなくて、苦しかった・・。」
「・・・。」
「夜中に酒買い込んでな、もうあの時は結構出来上がってたんだぜ?そこらへんフラフラしてたらさ、すげぇスピードの車がきてよ。誘われたみてぇに、道路に飛び出してた。」
「ゾロ」
「記憶思い出した時は一気に辛い事ばっか流れこんできて・・マジで頭割れるかと思った。でもなんでかな、死にてぇなんて一片も思わなかったな。」
「そうか・・。」
「巻き込んじまったのは俺のほうさ・・。悪かったな、謹慎になっちまったんだろ?」
「いや、いいんだ・・。逆に良かったと思ってる。」
「?」


「ゾロ、お前と逢えたから」
「・・!!・・ありがとな・・・・ルフィ・・・・っ」
今度はゾロがしゃがみこんでしまった。微かに震えるゾロの肩を抱き寄せてルフィは静かに微笑んだ。



夕陽が二人を温かく包み込んでいた―・・・・。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ