★文【パラレル】★

□海のみえる丘で
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「ルフィ!!!!早く行かねぇと転校早々遅刻するぞ!!」
「!!!!あぁ!!!!エース、もっと早く起こせよ!!」

海沿いにある家から朝から元気のいい会話が聞こえてくる。
ルフィと呼ばれた少年はエースという名の兄に叫ばれ、布団から飛び起きた。
ある事情によりこの町に父と3人引越して来たのだ。
そして今日からルフィは新しい高校に入学するのだが、会話にあるように堂々と寝坊をしでかしたようであった。
服を脱いだり、制服を着たり食パンをくわえてもう何をしているのかわからないくらいルフィはパニックになっていた。
やっとの事で準備が整い、家の扉を開けたら玄関の外に単車に乗ったエースがいた。

「エース!!」
「入学早々遅刻して大事な弟がいぢめられちゃかなわんもんな」
「いぢめられねぇよ!!」

そう言いつつもヘルメットを受け取ったルフィは慣れたようにエースの後ろに飛び乗った。



低いエンジン音を響かせ、単車が走り出す。海が見渡せる道路が続く。
ルフィは出かける直前に持ってきた菓子パンを頬張りながら、視界いっぱいに広がる青色に目を奪われていた。

「やっぱり俺、前世は船乗りだった気がするんだ・・」

ぽつりとルフィが呟く。
聞こえていたのかエースが大袈裟に溜め息を吐いた。

「・・・またあの夢みたのか」
「絶対ただの夢じゃねぇって!!毎日のようにみるんだ!!嘘じゃねぇぞ!!」
「嘘だったら殴るけどな」

ルフィはほぼ毎日のように夢を見ていた。海が出てくる夢。
そしてそれを毎日の様に家族に話すものだから、エースにとっては耳にタコ状態であった。
しかも引越ししてきた今日は今までで一番はっきりとした夢だった気がする。

「・・・・今日みた夢な、誰かがいたんだ」
「へぇ」
「誰なんだろうな・・・。」
「きっと運命の相手、なんだろうなぁ・・そんだけしつこく出てくるってことは」

「運命か・・・」

いつの間にか菓子パン3袋全て胃におさめたルフィは雲一つない青空を見上げた。


















「セーーーフ!!!!」

ブレーキを勢いよく踏むエースに反応が遅れたルフィは投げ飛ばされた。

「いて〜〜!!エース!!運転荒いぞ!!!!」
「文句があるんだったら今度から早く起きるんだな、じゃあな〜〜!!」

さっさとUターンしたエースはアクセルを踏み込み、その姿は見えなくなっていった。

「うぅ・・くそ〜エースめ・・」

打った所を擦りながら、ルフィは今日から通う学校を見上げた。

「グランド学園、か!!」

海沿いにあるにしてはとても立派で、そしてその名前も有名な学校だ。どうしてもここに入学したいというルフィの強い希望だった。

「よし!!まずは、職員室だ!!」

元気良く立ち上がり、ルフィはこれからの学校生活に胸を踊らせながら、学校の門をくぐった。





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