★文【パラレル】★
□海のみえる丘で
4ページ/9ページ
「ロロノア!!!!」
今まで静かだった教室に教師の叫ぶ声が木霊する。
真剣に授業に取り組んでいた生徒達は皆驚き身体を固くしたが、呼ばれた当の本人は気持ち良さそうに寝息をたてていた。
「おい・・呼ばれてんぞ」
隣の青年にシャーペンでつつかれてもピクリともしない。
そんな不真面目な生徒に業を煮やした教師は拳を一つ作り、眠っている青年の鮮やかな緑頭に鉄拳をおみまいしたのだ。それはもう学校中に響くくらいの音と共に。
「そんなに俺の授業を受ける気ない奴は廊下にたっていやがれ!!!!」
殴られて漸く目を覚ました青年は、またやってしまったと渋い表情だ。
教師に楯突く筈もなく小さな笑い声の中、大人しく廊下に出たのである。
「またかよ・・どうしちまったんだ俺は・・・・。」
先程、殴られ、廊下に立たされた青年―・・もといロロノア・ゾロは最近の自分の生活に違和感を感じ始めていた。
昼間に必ず寝てしまうのだ。前の晩に夜更かししたわけでもなく、しっかり夜は早く寝ているのにも関わらず。
そしてそれと共にみる夢。
いつもリアル過ぎて吐きそうになる。映画のワンシーンのような映像・・必死に俺の名を呼ぶ誰か。
「くそっ・・なんだってんだ」
原因がさっぱりわからないゾロは頭を抑えながら、誰かに相談すべきか悩みに悩んでいた。
「よぉ!!さっきはご愁傷様!!」
授業も終わり、それと同時に始まった教師の説教から漸く解放されたゾロは憎たらしい言葉に振り向いて睨み付けた。
「黙ってろ・・役立たずが」
「はは〜〜俺様に助けて欲しかったらお前の幼なじみのナミちゃんとの恋のキューピッドにでもなれよ」
一応、クラスメイトであるサンジであった。先程、シャーペンで起こしてくれた青年である。役に立たなかったが。
「・・それにしてもよ、お前最近疲れてんの?」
「ぁあ??」
「前はそんな授業中に寝る奴じゃなかったじゃねぇか、寝てる時顔色悪ぃしよ」
「・・・・あァ・・・・」
「・・・・心当たりあんのか??」
「・・・・夢」
「??夢??」
「・・・・・・・・何でもねぇ、最近夜寝るの遅いんだ・・気にすんな」
絶対サンジにはからかわれると思ったゾロは先程会話にあがった腐れ縁でもあるナミに相談することにしたのであった。
「で??私にどうしろって?」
昼休み、ゾロとサンジとナミとビビといういつも昼食を食べているメンバーで会話が弾んでいた。
ゾロは真剣に相談したつもりなのだが、冷たい反応にうっと口を閉じる。
「まりもがナミさんに相談なんて百年早いんだよ!!・・・・それにしても夢の話とは、くくくく!!!!」
案の定サンジにバカにされたゾロは額に青筋をたてるが、我慢をした。
「どうしろというか・・みないようにするにはどうしたらいいのかって聞きたかったんだよ」
「みてしまう原因を解決すればいいのよ」
「原因??」
ナミと呼ばれるオレンジの髪をした少女は腰に手を当ててゾロを見下ろす。
「どんな夢かは知らないケド、夢をみるのは意味があるってこと」
「よくわからねぇ」
「ふふ・・意外と深い意味があったりしてね」
「????」
にっこり笑ったナミにさっぱり意味のわからないゾロは降参してしまっていた。
“・・っま、そのうちみなくなるだろ”
昼食を食べ終わったゾロは手を組んで屋上で寝そべった。
目が霞むほどの鮮やかな青空を見つめ、ゾロは溜め息を吐いた。
_