★文【パラレル】★

□海のみえる丘で
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「んじゃあエース!!父ちゃん!!行ってくるな!!!!」
「お〜〜」
「行ってこい」

今日は日曜日で学校が休みである。ルフィは普段着に着替えて朝から早々出かける準備をして出ていってしまった。

「・・・あいつは朝から何処行った??」
「ん〜〜何か良い穴場見付けたんだと」

そう、ルフィは転校初日にクラスメイトのウソップとチョッパーという少年達と意気投合し、友達になった。そして学校帰りに教えて貰った秘密の丘の場所に行こうと思ったのだ。
幸いなことに家の裏の一本道から森を越えた所にあったのでルフィは迷わずそこに辿り着けた。

「うわ〜〜!!やっぱりスゲーな〜〜!!・・・・ん?」

その丘は何の障害物もなく、真っ青な海だけを一望することが出来る。一目見ただけで気に入ったルフィは今日もその景色の良さに心を奪われる、が。
今日は少し違っていた。

「誰かいる??」

丘ギリギリに人が立っていた。
一瞬飛び込もうとしてるのかと思い助けようかと焦ったが、振り向いた表情が笑顔だったのでルフィはほっと一安心した。

「おはようございます。君はあまり見ない顔だね」

柔らかく、そして少しの隙もない物腰の男の人が優しくルフィに声をかける。
ルフィはにっこり笑って返事を返した。

「おぉ!!2日前に引越して来たんだ!!ルフィってんだ!!よろしく!!」
「はっはっは。元気がいいね・・よろしく、ルフィ君」
「・・変わった服着てるなぁ〜〜着物か??それ」

男性の着ているものが気になったらしく堂々と服に指を差した。

「これはまぁ着物みたいなものだよ。うちは道場だからねぇ」
「へ〜〜!!道場かぁ」
「良かったらルフィ君も通ってみるかい?」
「遊びに行ってみたいけどな!!・・・・で、その道場の人がなんでここ知ってるんだ?」

ウソップ達との秘密の場所だと思っていたルフィは大人がいて少しがっかりした。

「ここは、好きなんだ・・息子がね」
「息子??」
「はは・・まぁ息子みたいなものだ。彼が良くトレーニングの時にここに立ち寄ると言っていたからね、どんなものか見ておこうかと思ったが・・・・実に、見事だ・・・。」
「だろ??海しか見えないんだ!!スゲー気持ちいいだろ!!」
「確かにね・・・。」

ルフィは腕を伸ばして潮の香りのする空気を目一杯吸い込む。深く息を吐いて、ルフィはまた男性に目をやる。

「ルフィ君はこの丘が好きかね」
「あぁ!!大好きだ!!」
「ふふ・・その気持ち大事にしなさい」
「・・おぅ、ありがとう」
「こちらこそ、良い出会いをありがとう・・・ではこの辺で。また会いましょう」

一つ礼をして男性はそのまま町のほうへ歩いて行ってしまった。

「んん!!この町も好きだ〜〜!!」

優しい人ばかりで気の良くしたルフィは丘の上で寝転がった。
そして日も真上に昇り、腹時計で昼時を感じたルフィは一直線に家に帰って昼飯にしたのであった。
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