★文【パラレル】★

□※大輪の花
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「坊さん、夏祭り来るんだろ??」

それから寝ると言った僧に親分は頷きはしたものの、その場から離れる事は無かった。横になった僧に変わらず話しかける。

「・・・今から寝ると言わなかったか」
「言った!!今年はな、花火っつ〜のも見れるらしいんだ!!!!絶対来たほうがいいぞ」

人の話を聞いていない親分に僧は少しイラッとしたが花火の話題には興味を持ち親分のほうを向いた。

「へぇ、花火打ち上げんのか」
「??坊さん知ってるのか?」
「まぁ、な。遠くで見たことあるだけだが」

近くで見たらさぞかし綺麗だろうなと呟く僧の話を親分は目を輝かしながら聞き入っていた。

「よく知ってるなぁ!!俺はこの町から出たこと無ぇから、俺も旅してみてぇ!!」
「・・・・。」
「??坊さん??」
「・・・色々見てきたが、この町が一番いい。親分はこの町を守っているほうが性分に合うだろうよ」
「ふ〜〜ん。そうか」
「あぁ」

そしてなにか閃いたらしい親分がにっこりと僧の顔を見る。

「俺が祭り案内してやる!!」
「遠慮する」

すぐに断りの返事が返ってきて、親分はがっくり肩をおとす。

「なんで〜〜いいじゃねぇか〜〜楽しいぞ?」
「賑やかなのは嫌いじゃねぇが・・・人混みが苦手なんだ、気に障ったなら申し訳ねぇ」
「・・・・。」
「・・・おい?」
「・・・やっぱ好きだな」
「・・・・・・・・は?」
「坊さんのそういうとこ。俺好きだ」

表情一つ変えずに大胆な事を言う親分に僧は固まってそして顔を赤くした。

「坊さん、顔真っ赤だ!!ゆでダコみてぇ!!照れ屋なんだな〜〜♪」
「う、うるせぇ!!!!」

けらけらと笑う親分に僧は悔しそうに顔を伏せるだけであった。

「・・・でも俺坊さんと祭りに行きてぇよ・・・」
「・・・・。」
「少しだけ!!な?」
「・・・・花火」
「??」
「花火はみてぇな・・・一緒に・・・みないか?」
「え・・・。」
「町の外れの大きな木にいるから・・・」

そう言い切って僧は腰をあげて歩き出した。親分も思わず、立ち上がる。

「いいのか!!?本当に行くぞ??」
「・・・あぁ、嫌だったら教えてないさ」

振り返って柔らかく笑う僧に見惚れて今度は親分が顔を赤くしたが、それを僧は気付かなかった。





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