★文【パラレル】★

□※大輪の花
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そして夏祭り当日―・・・。



夏らしい灼熱の太陽が射し、とても良い天気である。
昼時にルフィ親分はおナミ達に城に招待されたから城で花火を見ないかと持ちかけられた。とても嬉しい誘いではあったが、あの、僧の笑顔を思い出すと二言目には断っていた。親分なら必ず来ると思っていたウソップや青鼻先生は顔を見合わせて首を傾げた。

「親分と見たかったのにな〜」
「仕方ねぇよ、きっと親分は“花より団子”なんだぜ!!屋台命!!ぷぷぷ!!」
「ウソップ上手いな!!」

そんな冗談を言いながらさして親分の事は気にせず、おナミ達はビビ姫のいる城に向かったのであった。
















城下町では大勢の人とでごった返していた。屋台も賑わっており、昼を過ぎたというのに人の流れが止まることは無かった。
親分は屋台で買った焼きそばや団子、お好み焼きなど沢山買い込み大半は食べていたが、半分程は大事に右手で握りしめていた。

「ルフィ親分!!!!」

何処かから呼ばれて、親分は声のするほうを向く。正面からピーマン、たまねぎ、にんじんとおリカが走ってやってきた。

「おぉ!!みんな!!」

手を振りながら親分は先程買ったたこ焼きを飲み込んだ。

「親分!!!!城で花火が見れるんだろ!!行こうぜ!!」
「僕たちも誘われたんだ!!すごい楽しみだよ!!」
「私も見たいわ!!」

皆一様に嬉しそうにはしゃぐ。親分は頬をぽりぽりとかいて申し訳無さそうに呟いた。

「悪ぃな〜〜俺は行かねえんだ」
「え〜〜!!!!」
「なんで!!?」
「悪い奴が出たのか!!?」
「親分がいないと寂しいよ」

行かないと聞いた途端、子供たちの質問攻めにあう親分。

「違うんだ。先に約束してる奴がいるからごめんな・お前らだけで行ってこいな!!」
「・・・わかったよ。」
「約束してたならしょうがないわ」

予想してた反応が返ってきて親分は困った顔で子供たちを慰め、子供たちも聞き分けてとぼとぼと城へ向かって行ってしまった。
その子供たちの姿を見えなくなるまで見送った親分は人混みの中へと足を進めていったのであった。

























日暮が鳴き始め、日も落ち始めていた。そして町の外れの大きな楠の太い枝に僧は座っていた。城と城下町が一望出来るこの場所は僧の秘かな隠れ家である。

“別に待ってねぇけど・・。”

期待は正直して無かった。橋の下にいたときに橋を渡る二人の女性の話を聞いていたのだが、姫さんが親分達を城に招待したらしい。こんな所より絶景が見れるだろう誘いを無下にする訳無い。

けれどここからどうしても動けなかった。

『本当に行くぞ!!』

「・・・・早くきやがれ、クソ・・・。」

立てた膝に顔を埋めて僧は一人の存在だけを待っていた。

「・・・・っ、坊さん!!!!」

その叫びに顔をあげた僧は目の前から人が・・・いや親分が飛んでくるのが見えた。

「・・・・信じられねぇ」

ドカァアアアンッ!!!!!!

独り言は親分が木に激突した音にかき消される。僧の顔のすぐ横に親分の体があり、一歩間違えれば正面衝突していたことを想像して僧は顔を青くした。

「おま、お前・・・。」
「悪いな!!走るより速かっただろ??」
「そういう問題じゃ!!・・・・・・・・いや、ま、・・・いいか」

僧は怒鳴ってしまおうとしたが親分の片手に大事そうに持たれた食べ物やひょうたんに入ったお酒が目に入り、少し動揺する。

「それは」
「あぁ!!腹減っただろ?坊さんと食べようかと思って買ってきた!!」

ほら!!と嬉しそうに見せる親分に僧は胸が熱くなる。

「・・・俺を、選んでくれたのか・・?」
「??何の話だ??」

首を傾げる親分に僧は、いやいいと言葉を濁す。
酒の好きな僧は親分から酒を受け取り、嬉しそうに飲み干した。




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