サイト一周年企画
□護るモノ
2ページ/6ページ
「ひゃっほぅ!!乗り込んで来るとはいい度胸だな!!」
「食料、お宝、女、全部寄越しな!!!!」
船に移った途端、いきりたった輩が一斉にルフィ達に襲いかかってくる。しかし、雑魚相手を三人は余裕で倒して行った。
「欲しかねぇな、このクソ野郎共は」
「うだうだ言ってねぇで・・・さっさと片付けろ」
「へぇへぇ」
ゾロはあがる息を押さえ込み、流れる汗をバンダナで隠すと敵が一番密集したルフィが暴れている船首の方へ走った。ルフィはいつものようにゴムの力で敵を薙ぎ払っていた。
「ゴムゴムの!!ピストルっ!!!!」
「ぎゃああああっ」
呆気なく吹き飛ばされる輩に、この戦いも長くは続かないだろうとルフィの加勢に入った。
その瞬間・・・
ガガァアンッ!!!!
「きゃあ!!」
「な、ななんだ!!?」
船が激しく岩山にぶつかり、海が船を覆うかのような波を起こした。突然の衝撃に船が傾き身体をとられたと思った時、ゾロの視界がぶれた。
「・・・っ」
手摺にしがみつきながら、ずぶ濡れになったゾロはすぐにメリー号を見つける。
「・・・やられた」
敵船は微妙に波を読んでいたメリー号を認識していた。いつの間にか船同士は鎖で繋がっており、岩山で自分達の船を塞き止めメリー号を逃げられなくしていた。
「いつでも逃げれると思ってんじゃねぇぞ!!」
鎖を伝ってメリー号に行こうとしている輩も居てすぐに片付けなければとゾロは床を蹴った。
「コック!!向こうは任せた!!!!」
「おぅ!!てめえも気をつけろ!!!!」
サンジは先にメリー号に戻り、ゾロはルフィの姿を探した。先程までの暴れようが嘘かのように姿が見えない。
無理な作戦が祟ったのか敵船の先端は潰れてしまっている。
「ルフィ!!どこだ!!?返事しろ!!」
「・・・、・・・ぉ〜〜」
微かに聞こえた声は潰れた先端から。嫌な予感に足場の悪い甲板を跳び移りながらルフィの姿を探した。
「ルフィ!!」
見つけたルフィはメリー号に繋がれた鎖に足が絡まり、今にも海に落ちそうな状態だ。しかも周りにはまだまだいる敵の姿。
波に身体を包まれてしまっていたルフィは身体に力が入らないのだろう、いつもなら引きちぎる鎖に苦戦していた。
「・・・っくそ!!」
「調子に乗ったな!!?がははは!!」
今にも刀を振り上げそうな敵にゾロは凄まじい速さで斬りつけてゆく。すぐにルフィの側に来ると前に立ちはだかった。
「ゾロ!!」
「調子に乗ったのはてめぇらのほうだ・・・いつでも来い」
「がはははは・・・お前ら、俺達を知らねぇな?」
「・・・?」
「くくく・・・」
飛び退いた敵に嫌な予感が拭えない。
「なんだ?もう終わりか?」
ルフィの言葉に敵からの返事は無かった。
サンジがメリー号に戻って乗り込もうとしていた敵を倒したのでナミ達は無事だった。しかし、ナミは何かを思い出し、顔色が悪くなり始める。
「・・・思い出した・・・あの海賊旗・・・!!!!」
ナミは双眼鏡を持ち出し、すぐに敵船を確認する。ルフィとゾロが船の先端に見え、そして敵の不自然な程遠い立ち位置と船本体に空いた無数の穴。ナミは形振り構わず叫んだ。
「だめ!!!!逃げて!!!!」
「やっちまぇ!!!!」
ナミの叫びと敵の号令はほぼ同時だった。船体の穴という穴から発射された感覚にゾロは目を見開く。
“ボーガン・・・!!!!”
ドスドスドスドスドス!!!!
「が・・・ぁっ!!」
「ゾロ!!!!」
気付いた時には遅く数十本の矢が二人に降り注ぐ。ゾロは最大限に矢を刀で切り落としたが、数の多さはどうにも防ぎ切れず左肩と脇腹に太い矢をまともに喰らっていた。他にもルフィとゾロの身体スレスレで船体にのめり込む矢。ルフィの叫びが後ろから聞こえた。
「ゾロ!!?お前避けろよ!!!!」
避ける?
バカが、避けたら・・・てめえが喰らうだろぉが・・・。
ガクンッと膝をついてゾロはルフィを無理矢理鎖から引き抜いた。軟らかいゴムの身体は、こんなとき便利だな、とかどうでもいいことを思った。
「ゾロ!!」
「・・・っ、俺はいいから・・・早く、片・・・付けろっ」
「・・・っ」
崩れ落ちそうなゾロの身体を支えた時に初めて知った熱すぎる体温。
「・・・お前、・・・っ」
ルフィは何も言えずにゾロをその場に寝かせ、海と鎖から解放されて、まるで怪物のように敵船を壊滅させていった。
「おめぇら、原型が残ってると思うなよ!!!!」
.