サイト一周年企画

□愛し君
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「・・・で?話ってなんだよ」
「・・・」



呼び出されたのは何故か見張り部屋で、ルフィは背中を向けて話出そうとはしない。そんなルフィを見つめながらゾロは彼の成長を感じていた。



“昔はあんなに華奢だったのに、な”



出会った頃は本当にガキだと思う程の体格であれほどの力があったのに驚いたものだった。それが、今はどうだろう。背中越しでも感じるルフィの筋肉に、オーラに、ゾロは暫し見とれていた。



「俺・・・・・・ゾロの事が」



漸く話出したルフィにゾロは自然と喉を鳴らす。



“何緊張してんだ、俺・・・”



滅多に無い重い空気に、嫌でもゾロの神経は研ぎ澄まされていた。ルフィが振り返って、その双眼がゾロを射抜く。



「好きだ」



ルフィの言葉にゾロは目を見開く


これは・・・本当なのだろうか?
しかし、ゾロの中の何かが騙されるなと声を荒げている気がして言葉が出てこない。きっとルフィは返事を待っている。返事をするまで、下手すりゃ一生このままだと。



「好きだ、ゾロ・・・まだ信じてくれねぇか?」
「・・・っ」



再び呟かれた言葉にゾロの身体が揺れた。


違う・・・信じれないんじゃなくて・・・信じているから・・・


ゾロはきつく目を閉じた。


抱き締められることも、愛の言葉を囁かれることも、無縁だったこの俺が・・・ルフィの、“だだひとり”になれるのか??



「・・・そんだけ、お前の事好きなんだ。信じろよ・・・お前だけだ。これだけ好きなのは!!」
「・・・」
「俺は、嘘なんか、つかねぇ」



肩を掴まれて、動作が遅れたゾロはいつの間にか自分の身体も押さえ込めれるようになったルフィの胸の中にいた。手を回されてゾロとルフィの距離が0になる。



「お、れは・・・」
「おぅ」
「そう言ってもらえて嬉しい・・・だけどそれだけだ」
「・・・」
「お前は船長だ。船員に対して偏りがあっちゃいけねぇ・・・いざというとき正しい判断が出来なく「ゾロ」
「な、何だよ」
「俺はずっとゾロが好きだった。でもいつだって俺は皆と一緒にやってきたじゃねぇか」
「・・・!」
「いつ、俺が間違った事した?言ってみろよ・・・そう言って逃げてんだ、ゾロは」
「何・・・?」



反論しようと身体に力をいれたゾロにルフィはまた抱き締め直す。



「てめえ」
「俺知ってんだぜ?・・・お前の事なら全部」
「・・・っ!!」
「ゾロ・・・お前の気持ち聞かせてくれ」



ぎゅうっと力を込めたルフィの腕にゾロは堪忍したかのように身体を預けた。



「お前は・・・ずりぃよ・・・」
「ん??」
「ずりぃ・・・」



そうやって気持ちを掻き乱してまた離れて行きそうなお前が嫌いだ・・・

嫌いに、なりたかった



「好きだ・・・」
「・・・うん」
「好きだ・・・ルフィ」
「俺も、ゾロが好きだぞ」



しししし!!と本当に嬉しそうなルフィの声に堪らず顔に熱が上がった。
チュッと音を立てながらいつもより優しい、長い口付けをする。



「約束のキスだ♪♪」
「くくくっ・・・ったく、言わなきゃだめみたいだな」
「ん??」
「てめえが・・・好きだぜ。俺も」
「しししし!!!!じゃあ明日にでも結婚だ!!」
「は!!?け、けけ結婚!?」
「そうだぞ!!結婚前提のお付き合いだ!!」
「・・・聞いてねぇし、てめえは何処で、んな言葉覚えてくんだ・・・っ////」



そう呟いたけれど、にこやかなゾロの表情を見つめてまたルフィは嬉しそうに笑った。























もじもじと居心地の悪そうなウソップとチョッパーが澄ました顔で本を読んでいるナミにひそひそ話で声をかける。



「な、なぁ。」
「ん?」
「あいつらに・・・言わなくていいのか?」
「何をかしら?」
「だからその・・・拡声器。電源ついてるぞって」
「ふふふ・・・私達が黙っていればいいのよ。ねぇ?ナミちゃん」
「ええ♪あの鈍感男には証人がいなきゃ、はぐらかされるのがオチよ」



そう言って、ナミとロビンは笑い合ったのだった。




END



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2010年03月30日
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