朱色の翼
□始まり
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「早く帰んないと!」
今、僕は暗い路地裏を走っている。
理由は簡単に、時間を忘れていたとでも言っておこう。
幸いにもこの街は治安がとても良く、不良などいない。
最も、不良がいるならば、こんな不良が溜まりそうな所は恐ろしくて通らないだろうが。
(後何分だ?)
僕はそう思い、携帯を開く。
無情にも、時間は終電5分前を示していた。
「やっば!」
僕はさらに走る速さをあげる。
だけど、まだまだ先は続いていて出口が見える気配はない。
(…うん、普段は通らない路地裏を通るって怖いなぁ…
何か出そうだよ…)
そんな事を思い、僕は苦笑を浮かべる。