物語
□ライバル
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「…ふぅ」
俺は目の前にそびえ立つ、高校球児の聖地、甲子園球場を見上げ、ため息をついた。
……別に賢者になってた訳ではないぞ。
「ついに決勝、か」
パワフル高校の野球部に入部して早、二年と半年。
入部したての頃は夢のまた夢だったものが今、直前に迫っている。
「…泣いても笑ってもこれが最後か」
矢部君、松田、東條、小枝、パワフル高校全員の力でここまで来たんだ。
「後、もう一歩なんだ」
決勝は、友沢率いる帝王実業。
…あいつには、負けたくない。
「おっ、ここに居たでやんすか。もう集合でやんよ〜」
後ろを振り向くと、矢部君が俺を呼びに来ていた。
「うん、分かった、今行く!」
さぁ、決勝の始まりだ!
「…ようやくお前と決着をつける時が来たな」
「お前には負けないよ、友沢」
「それはこっちの台詞だな」
「負けないさ」
「俺も負ける訳にはいかないんだ」
『さぁ、始まりました、甲子園大会決勝!泣くのは東東京代表パワフル高校か、神奈川代表帝王実業高校か…
今、戦いの火蓋が切って落とされます!』
―fin―
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