dear

□紅き想い、左手に
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5月5日、それは付き合いだして初めての彼女の誕生日。

それを目前に控えた彼氏は苦悩に満ちていた。

その理由は遡ること数日前…、彼女ことプリノと誕生日の話をしていたとき。

「おい、誕生日はどうしたいんだ?」

「え!?御祝いしてくれるんですか!?」

目をキラキラさせて明らかに嬉しそうにしているプリノを見て紅は、頬を少し赤く染めて『まぁ…』と言いながら顔を背けた。

しかしプリノは先ほどの表情とは対照的な表情を浮かべた。

「あ、でも…。」

「どうかしたのか?」

「実はその日、一度実家に帰ることになったんです。GWで両親たちが休みだからって…。」

「そうか…。」

なら、別の日に…と言いかけた瞬間、プリノがとんでもないことを言い出した。

「あ、良かったら紅も私の家へ来ませんか?そうしたら誕生日、一緒に過ごせますし。」

「…は?」

紅は頭が真っ白になった。

プリノと一緒に誕生日を過ごせるのは嬉しい。だが…。

「…お前の両親が居る、ということは…勿論、お前の兄も…?」

「はい、居ますけど…、どうかしましたか?」

紅は一瞬にして悟った。

彼女の誕生日が自分の命日になると…。

「やっぱり何か都合が悪いですか…?」

「え、い、いや…、そういうわけでは無いんだが…」

「じゃあ、来てくれるんですね!?」
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